宇宙葬や人工衛星キット開発など宇宙関連事業を手掛ける「スペースシフト」の金本成生氏。学生時代にIT企業を起業、米国で就職、宇宙事業に進出、とフィールドを広げてきた金本氏に、エンジニアのキャリア構築法を伺った。※金本氏からエンジニアへのメッセージ動画付き
アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うインタビューシリーズ。第10回は、宇宙関連事業を手掛ける「スペースシフト」代表取締役であると同時に、NASAの技術者が創業した宇宙葬を扱う米「エリジウムスペース」の日本法人代表を務める金本成生氏にご登場いただく。
PC好きの少年が米国に渡り、宇宙にフィールドを広げるまでには、どのようなキャリアの変遷があったのか。元エンジニアだからこそ分かる、求められるエンジニアになるために必要な考え方など、氏のお話は「今」を生きるエンジニアに役立つだろう。
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) 金本さんは「宇宙」に関する事業を興されているとのことですが、具体的にはどのようなことをしているのですか?
金本成生氏(以降、金本氏) 「スペースシフト」という会社で、宇宙事業のコンサルティングを行っています。また、宇宙葬を行っている米「エリジウムスペース」の役員として、日本の事業展開やアライアンス構築を行っています。
これが、その宇宙葬で使うカプセルです。この中に遺灰を1グラムだけ入れられます。これに納骨したもの60人分を1つのトレーに入れ、そのトレーを10センチ×10センチの人工衛星ユニットに格納します。
約500人分の遺灰が、1つの衛星に入ります。この衛星を、民間のロケット打ち上げ時に「セカンダリー・ペイロード(相乗り)」で積ませてもらって、高度500キロくらいのところに打ち上げます。
衛星は3年ほど地球を周回した後、大気圏に再突入して流れ星になります。衛星の位置はスマホのアプリでリアルタイムで見られます。
阿部川 御社でロケットを打ち上げるわけではないのですね?
金本氏 コストとタイミングが合えば、他社の打ち上げに相乗りします。米国は民間の宇宙開発が進んでいて、ロケットをシェアするという考え方があります。1機のロケットに80個くらいの衛星を搭載することもあります。
阿部川 今後の打ち上げ予定は?
金本氏 2016年に地球を周回する「流れ星供養」を、また2017年には月面探査機に搭載する着陸船にユニットを積んで月に遺灰を置く「月面供養」を行う予定です。延期の可能性はありますが、1年以内には打ち上げ可能というところまで来ています。その後は1年に1回は必ず打ち上げる予定です。
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