建築業者は、ある意味単純に「プロバイダーの不注意で損害を受けたのだから、それを賠償するのは当然」という考えだ。
プロバイダーは、「自分たちはサーバをレンタルしただけで、データの保守、運用は行っていない。データの滅失に備えてバックアップを取っておくなどの策を取り、保全を図る責任は、データオーナである建築業者にある」として、逸失利益分、つまり再構築費用400万円を超える分の支払いを拒否している。
本件では滅失したのがWebサイトのデータだったので、大きな被害は出なかった。しかし、これが個人情報の漏えいだったらどうだろう。
例えば、レンタルサーバに何らかの脆弱(ぜいじゃく)性があり、顧客もしかるべき防御策を取っておらず個人情報が漏えいしてしまったら、プロバイダーはどこまで責任を負うべきなのだろうか。
「サーバ内のデータ保全の責任」は、顧客とレンタルサーバ業者(プロバイダー)のどちらにあるのだろうか。裁判所の判断を見てみよう。
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