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» 2016年08月29日 05時00分 公開

教えて! キラキラお兄さん「エンジニアのキャリアもグロースハックできますか?」プロエンジニアインタビュー(1)(2/3 ページ)

[取材・文:齋藤公二, 聞き手:@IT編集部,@IT]

エンジニアリング、デザイン、ビジネスの3本柱を意識

 前田さんが心掛けているのは、「エンジニアリング」「デザイン」「ビジネス」の3本柱を意識することだ。

 「エンジニアリング」は、グロースハックに欠かせない重要な要素だ。グロースハックスタジオが提供するサービスには、KGI/KPIツリーやユーザー像の分類を作り、それに合わせてモニタリング環境を整えることや、街頭インタビューやアンケートを使ってユーザーセグメントを分析し、そこから考えられる仮説をチューニングすること、サービスの成長ストーリーの作成とFit-Gap分析などを行って予算獲得へと導くことなどがある。

 「こうしたサービスを提供する上では、データをどう集めてどう見せるかや、どんな技術を使ってどう構築するかといった専門家の目線が必要です。そこで、エンジニアの知識とスキルが生きてきます」

 逆に、エンジニアリングに裏打ちされないコンサルティングは顧客を振り回して終わることにもつながりかねない。そこで同社では、コアメンバー4人のうち3人がエンジニアという陣容で、単なるビジネスコンサルティングにはない価値を提供できるようにしているという。

 2つ目の柱となる「デザイン」は、アプリ開発のUI/UXを担う重要な要素だ。エンドユーザーが何を考えているかを知るために、UI/UXに対する評価や変更への反応からデータを収集して改善を行っていく。実際のサービス開発の現場でも、エンジニアとデザイナーがお互いに連携することが、PDCAサイクルを回しやすくするための1つのポイントになる。

 「技術職であり立場も似ているため、エンジニアとデザイナーは意思疎通が図りやすいと思います。ユーザーの意見を最も知りやすい立場にもいます。注意したいのは、ディレクターやマネジャーなどの上の立場から降りてきた要求に対して、そろって受け身になりがちなことでしょうか。言われたことをただこなすだけではなく、とにかく意見を出していく姿勢が大事だと思います」

 3つ目の柱「ビジネス」は、技術職にとって最も縁遠い領域だ。だが前田氏は「だからこそ積極的に学んでいく必要がある領域だと感じた」と話す。

 「この会社にジョインしたきっかけは、スタートアップの立ち上げという“ゼロイチ”を経験したかったからです。それと、自分に足りないビジネス面での経験を身に付けたかったから。まさに今、自分に足りないビジネスの経験を積んでいるところなんです」

アプリエンジニアから広告・マーケティングの世界へ

 前田さんがサービス開発の面白さに目覚めたのは、社会人1年目のことだった。大学で化学を専攻し、学卒で都内のSIerに入社した。半年間の研修と社内OJTでJavaを学び、最初の派遣先となった映像系ベンチャーでAndroidアプリの開発を任された。自由な環境で最先端の技術に触れ、新サービスを立ち上げる面白さを肌で知ったという。

 その後、ポータルサイトを運営するエキサイトに転職。面接で「米国でNo.1を取れるスマホアプリを作ろう!」という熱いパッションを持った上司に出会い、心を突き動かされた。配属されたスマートフォン推進室では、企画から開発、運営までを一貫して行った。チームで担当したアプリが「東京スマートフォンAPPアワード」で最優秀賞を獲得した経験もある。電子書籍アプリ「Dモーニング」やニュースアプリ「エキサイトニュース」の開発も担当した。

 「チームがフラットな関係で、プロデューサーやデザイナーらとあれこれ話し合いながら新しいサービスをゼロから開発していきました。作る楽しさ、リリース後にユーザーが増える楽しさ、レビューを読んで改良する楽しさ、B2Cサービスの面白さを実感した時期です」

 フットワークが軽く、意識も高かった。エンジニアとしては、AndroidやiOS向けアプリの開発を中心として、UnityやCocos2d-xなどを使ったゲームアプリ開発の技術、SDKの開発や管理画面側のデザインの実装にも携わった。プラットフォーム全部を押さえようという戦略の下、いろいろな技術を吸収していったという。また、B2Cサービスの楽しさを知ったことで、広告やマーケティングの重要性にも関心が広がっていき、飲み会を通じて知り合った友人を通して、「アド部」という勉強会に足しげく通うようになった。

 「アド部は『開発者ってマネタイズの方法知らないよね』という問題意識から始まった勉強会です。DSPやSSPといった広告の技術だけでなく、ビジネスモデル開発なども取り扱っていました。エンジニアとアド関係者の接点ってほとんどありませんでしたから、そこをつなげようという意図もありました。このアド部で本当にいろいろな人たちと出会いました。今の会社の広岡ともそこで知り合ったんです」

 アプリ開発の技術力と「人の懐に入り込む力」を買われ、エキサイトから広岡氏がCFOとして経営に携わっていたアドイノベーションへと転職。同社で代理店が利用するスマートフォン向け広告効果測定ツールの開発を担当した。アドイノベーションでは、現在グロースハックスタジオの代表取締役兼共同経営者の和家翔氏とも知り合っている。和家氏からスクラム開発やファシリテーションの在り方、チームビルディングの方法など学んだという。

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