ガートナー ジャパンは、日本企業のビッグデータへの取り組み状況に関する調査結果を発表した。既にビッグデータに向けた活動を進めている日本企業が約7割に達した一方で、課題も浮き彫りになった。
ガートナー ジャパンは2016年11月8日、日本企業におけるビッグデータの取り組み状況に関する調査結果を発表。2016年2月の調査時点で、「既にビッグデータに向けた活動を進めている」と回答した従業員数500人以上の日本企業の割合は67.2%に上った。
日本におけるビッグデータ市場は、同社が示した「テクノロジーのパイプサイクル:2016年版」によると、期待が過度に高まるピークを超え、幻滅期の底に向かう状況にある。当初、ビッグデータへの期待が小さくなることから、取り組みを進める企業の割合は若干減少すると予測されていたが、実際には2015年の65.6%から1.6ポイントの微増となった。
パイプサイクル:市場に登場した技術が認知されて期待度が高まり(黎明期〜ピーク期)、その熱狂が冷める時期(幻滅期)を経て市場を確立し、市場で意義や役割が広く理解されるようになる(啓蒙活動期〜生産性の安定期)までの経過を示す指標
一方で同社は、ビッグデータの活用に取り組み始めた企業が「実際に何を分析すれば、ビジネス上の成果が生まれるのか」に悩むケースが多く見受けられると指摘する。例えば、「ビジネス部門には、データ活用で解決できる課題や新しいアイデアが多く埋もれていると思うか」との問いに「はい」と回答した企業は72.8%だったが、そのうち、「既にビジネス部門との対話を進めている」企業は19%にすぎず、約4割の企業は「これから(1年以内に)始める見込み」であることが分かった。
ガートナー ジャパンは、企業におけるビッグデータへの取り組みについて、「最終的な目的は、テクノロジーを導入することではなく、売上や利益の増大といったビジネス上の成果を生み出すことにある。そのため、解決すべき課題や改善すべきテーマを最初に特定することが必要になる」と提言。その上で考えるべきことは、「データの重要な活用方法として、いかに将来の予測を進めるか。いかにアルゴリズムを適用して、判断の自動化やビジネスプロセスの自動化を進めていくかという点が、今後一層重要となっていく」とした。
今回のアンケート調査は、2016年2月に日本全国の従業員数500人以上のユーザー企業に勤務し、ITインフラにかかわるマネジャー層以上に実施した。有効回答数は515件。回答企業の従業員数規模別の内訳は、2000人以上が259社、1000〜1999人が99社、500〜999人が157社だった。
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