2つ目の失敗は、Drupal 8リリース直後に起きた。
Drupalは2015年11月にバージョン8がリリースされ、現在はバージョン7と8が利用される、いわばバージョン移行期に当たる(バージョン6は既にサポートが終了している)。
舞台は、ある外資系企業の日本法人のブランドサイト構築案件だ。プロジェクトの方向性は理解していたし、顧客からも信頼してもらっていた。プロジェクトにはDrupal 8を採用し、専任のデザイナーをアサインして臨んだ。
しかし、顧客からデザインの承認がなかなか下りない。おのずと工数は当初の予定を上回り、予算も見合わなくなっていく。
「Drupal 7では、多くのケースでデザインに既存のテンプレートを利用していました。しかし、リリースされたばかりのDrupal 8にはテンプレートがそろっていません。デザインをゼロベースで作り上げる場合の工数やリソースにある程度余裕を見込まなければいけなかったのに、読み切れませんでした」と、竹内氏は失敗の原因を説明してくれた。
この案件も、追加のデザイナーを投入してデザインの承認を取り付け、プロジェクトを完成させた。
こうした失敗を受け、同社ではデザインの体制を強化した。
「低予算のプロジェクトはDrupal 7を利用し、これまでに蓄積されてきた豊富なテンプレートを活用してクイックスタートで制作し、ある程度予算規模が大きかったり、作り込みが必要だったりするプロジェクトでは、専任のデザイナーをアサインし、Drupal 8を利用して最新機能を積極活用するようにしています」と竹内氏。案件の規模ごとに、使用するDrupal 8のバージョンとプロジェクトの体制を変えた、ということだ。
さらにDrupal 8への移行段階では、大きな案件だけでなく、小さな案件もデザイナーの関与が必要だ。しかし、だからといって社内のデザイナー数を増やすのにも限りがある。そこで同社では、関東、中部、関西と、エリアごとにデザイナーと提携し、プロジェクトを進める体制を確立した。こうして顧客の求めるオリジナルデザインを創る案件にも、きちんとした対応がとれるようになった。
また業種、業態ごとのデザインテンプレートを、最新版向けにデザイナーと一緒に開発している。小規模案件は毎回ゼロからデザインを起こしていくと利益を出しにくいので、デザイナーと一緒にあらかじめテンプレートを開発することで対応できる体制を整備しているという。
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