マイクロソフトが、AI搭載ロボットやドローンの効率的な開発を支援するオープンソースプラットフォーム「Aerial Informatics and Robotics Platform(β版)」を開発者向けにリリース。GitHubで公開した。
米マイクロソフトは2017年2月15日(米国時間)、AI(Artificial Intelligence:人工知能)搭載ロボットやドローンの訓練や開発を支援するオープンソースプラットフォーム「Aerial Informatics and Robotics Platform(β版)」を開発者向けにリリースしたと発表。GitHubで公開した。
AIを用いた自律型システムの研究開発では、機械学習の効率が重要ファクターとなっている。この目的での機械学習における大きな課題の1つに「多数のサンプルが必要」であることが挙げられる。有効な挙動の学習には、極めて多くのデータを必要とする。また、ロボットシステムは大抵、稼働していない状態で訓練が行われるため、挙動が予測不能なロボットを使うなど、実際の実験で再デバッグを行う必要もあり、工数が掛かる。
Aerial Informatics and Robotics Platformはこの2つの課題を解決し、訓練に必要な大量データの利用と、シミュレーターによるデバッグを可能にする。同プラットフォームが提供する実践的なシミュレーションツールにより、設計者や開発者は必要な訓練データを膨大に生成できるようになる。また、同プラットフォームは物理学や知覚コンピューティングの最新成果を利用して、実世界の正確なシミュレーションを実現できるという。実世界での実験では多くの工数が掛かったり、リスクを伴ったりするような検証も容易になる。
Aerial Informatics and Robotics Platformのようなデータ主導のロボット研究開発システムを構築するには、さまざまな課題を克服する必要がある。まず、幅広いソフトウェアとハードウェアをサポートする必要がある。さらに、ハードウェア、ソフトウェア、アルゴリズムの革新が急速に進んでいることから、さまざまな面で簡単に拡張できる柔軟性が要求される。Aerial Informatics and Robotics Platformは、モジュール設計の採用によってこうした課題に対処しているという。
同プラットフォームは、Robot Operating System(ROS)のような一般的なロボットプラットフォームと簡単に接続でき、広く使われている飛行ロボットモデルとセンサーAPI(Application Programming Interface)があらかじめ用意されている。さらに、広くサポートされているプロトコル(MavLinkなど)によるHIL(Hardware-in-the-Loop)およびSIL(Software-in-the-Loop)シミュレーションに対応しており、高頻度のシミュレーションが可能だ。クロスプラットフォーム(LinuxとWindows)対応により、多様な新タイプの自律型輸送手段、ハードウェアプラットフォーム、ソフトウェアプロトコルに合わせて容易に拡張できるという。
また、Aerial Informatics and Robotics Platformは、既存の機械学習プラットフォームと連携し、知覚や制御タスクの新しいアルゴリズムを生成するように設計されている。強化学習や模倣学習、デモンストレーション学習、転移学習といった学習方法でシミュレーションと、合成生成された環境を利用して、実践的なモデルを構築できると、マイクロソフトは述べている。
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