連載
» 2017年03月08日 05時00分 公開

カンボジアは残存率3割弱、離島の男性は全滅――山本一郎氏が聞く、オフショア&ニアショアで働き手を開拓し続けた企業の8年間開発残酷物語(3)(3/3 ページ)

[宮田健, 鈴木麻紀,@IT]
前のページへ 1|2|3       

父のまなざしで

 ところで、冒頭のオフショアの方はどうなったのだろうか。こちらは浦坂氏から現状を説明してもらおう。

 「先ほどお話ししましたように、10人採用して残ってくれるのは2〜3人です。でも、残ったメンバーは日本流スタイルに順応して、自分から提言してくれるような人たちです。一緒に頑張ろうと意識する人が残ってくれる。彼らを軸にビジネスも軌道に乗ってきました」(浦坂氏)

 しかし、10人中2〜3人となると相当打率が悪い。「撤退」の2文字が浮かんできても仕方がないと考えるのが普通だ。しかし。宮崎氏たちは引き続き、カンボジアでのビジネスを続けている。

 「今はまだ国からの補助金も出ているので、もうちょっと時間をかけて、彼らが成長するのを見ていきたいと考えています。みんな真面目で、昭和の日本人のような純朴さがあるんです。わが子のようにかわいいです」(宮崎氏)

 山本氏はこの言葉に「まるでお父さんみたいだ」と感想をもらす。

「お父さん!」「やめてくださいよ」

 「乗りかかった船ですから」と宮崎氏が答えると、山本氏は「『いまは利益が出なくてもゴーだ!』と言ってくれる社長はいいですね。目先の数字を追わないところに、経営者の『度胸』が見えます」と励ます。

 「どうしよう。連載タイトルは“残酷物語”なんですけれど、全然残酷じゃない。むしろイイ話になっちゃった(笑)」(山本氏)

石の上にも8年

 それを聞いて、「いえいえ。社員や家族には、結構“残酷”な思いをさせたと思います」と、しんみりと話す宮崎氏。明るく語ってはきたが、実はここに至るまで「経営の危機」に何度も陥り、つらい日々を過ごしてきたという。「何をするにも4年くらい我慢してきました。カンボジアで4年、壱岐市で4年。石の上にも8年です」と宮崎氏が語ると、浦坂氏が静かにうなずく。

 宮崎氏たちの挑戦は続く。

 「定着すれば離脱しない。だからそこでマネタイズできる『分岐点』があり、私たちにはそこまで持っていけるノウハウがある。都会から人を呼ぶのではなく、そこにいる人を育てる――時間がかかる事業を、より効率良く他の地域に展開していきたいです」(宮崎氏)

 誰かがやらねばならぬ――海外、そして地域の活性化に奔走した8年間。経験がノウハウになるまでに時間はかかったが、経営リスクを取ってまでも「理念」を掲げ戦い続ける。そういう企業、そういう失敗があってもいいのではないだろうか。

オフショア、ニアショアの注意点

  • 海外の文化や考え方は、根本的なところから「違う」と理解する
  • オフショアエンジニアはその国のエリート。プライドに考慮する
  • 粘り強さが大切。すぐに結果が出なくても、最初は赤字でも、時間をかけて関係性を作る覚悟が必要

次回も、山本一郎氏が「炎上」事例を斬る!

 次回以降も山本一郎氏が、発注ナビユーザーの炎上事例をぶった切ります。お楽しみに。

発注ナビとは

発注ナビ」は、業務システム開発やWebシステム開発、アプリ開発、ECサイト構築、Webサイト制作などのシステム開発を中心としたITサービスを提供する会社の検索・比較に特化した情報サイトです。システム開発などのITサービスの開発を検討している発注者が、あまたある開発企業の中から、高い精度で迅速に発注先企業を見つけられることを目指したWebを中心としたサービスです。

発注者からのさまざまな要望に応えるべく、毎月50社以上のシステム開発会社やWebサイト制作会社と面談を行い、業界各社の情報収集・分析を徹底、単なる広告の掲載ではなく、発注者目線で取材を行い、根拠や強弱を付けた特徴の説明、具体的な実績や費用例、クライアントからのクチコミ評価などの、なかなか表に出てこないような情報のコンテンツ化に取り組んでいます。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。