Visual Studio Previewとは?特集:Visual Studio 2017の全貌を探る(2/2 ページ)

» 2017年03月17日 05時00分 公開
[かわさきしんじInsider.NET編集部]
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注意点

 VS Previewは「これから先にリリースされるVSがどんなものになるのかを、いち早くキャッチアップできる」が、利用する上では幾つかの注意点がある。大ざっぱには次のようなことだ。

  • プロダクションコードの生成には使えない
  • マイクロソフトによる公式なサポートはない
  • ディスク容量
  • サイドバイサイドにインストールする場合、同じエディションをインストールすることが推奨されている

 あくまで「プレビュー版」であることから、先述の「プロダクションコードの生成には使えない」という制限と、公式なサポートがないのは当然といえるだろう。

 ディスク容量については、VS 2017とVS Previewはサイドバイサイドでインストールが行われるので、両者で同じワークロードを選択すると、それらが別々にインストールされる。つまり、おおよそ倍のディスク容量が必要になるということだ。仮装マシン上に環境を整備している場合などには、ディスク容量の面でVS Previewを丸ごとインストールするのが難しいかもしれない(筆者がそうだ)。

 最後の「同じエディションをインストールすることが推奨されている」については、VS PreviewのFAQにその旨が記述されている。自分が所持しているVSのライセンスに相当するエディションを利用するようにしよう(もしくはCommunityエディションを使えるかを検討するように書かれている)。

Pythonワークロードについても少し

 最後に、2017年3月7日にリリースが始まったVS Previewに含まれているPythonサポートをインストールするワークロードについても触れておこう。

 [ワークロード]タブで[Python 開発]を選択すると、右側の[概要]ペーンにはインストールされる項目とオプションでインストール可能な項目が表示される(下の画像の赤枠内)。特にデフォルトでインストールされるPython 3.6以外にもさまざまなディストリビューションが表示されるので、必要に応じて、インストールするものを選択しよう。

[Python 開発]でインストール可能なPythonディストリビューションはさまざま [Python 開発]でインストール可能なPythonディストリビューションはさまざま
なお、この画像自体はVS Previewをインストール後に構成を変更し、Anaconda 3を追加でインストールするように構成を行っているところ。

 特徴的な変更点としては、[Ctrl]+[Enter]キーを押すことで、エディタ画面で編集中のPythonコードを[Interactive]ウィンドウに「送信」できるようになったことが挙げられる。

エディタ画面から[Interactive]ウィンドウにコードを送信 エディタ画面から[Interactive]ウィンドウにコードを送信

 例えば、上の画像ではエディタ上で定義されている関数fact全体を範囲指定して、[Ctrl]+[Enter]キーを押している。これにより、[Interactive]ウィンドウにコードがコピー&ペーストされ、関数factが定義されるので、続いて実際にそれを呼び出している。これにより、.pyファイルでのコードの記述と[Interactive]ウィンドウでのそのテストが簡単に行えるようになっている。

 また、[Python Environment]ウィンドウにも変化が見られる。

[Python Environment]ウィンドウ [Python Environment]ウィンドウ

 [Visit the distributor's website]は[Python Environment]ウィンドウで現在選択しているPythonディストリビューションの発行元のWebサイトを表示するためのリンクだ。また、[Open interactive window]の下には[Explore interactive scripts]と[Use IPython interactive mode]が増えている。後者は[Interactive]ウィンドウでIPythonを使用するというオプション。つまり、新しい[Python Environment]ウィンドウでは[Interactive]ウィンドウで標準のPython対話環境を使うか、IPythonを使用するかの切り替えが簡単になったということ(これを設定するのに、これまでのPython Tools for VSでは[Configure interactive mode]リンクをクリックするなどして、[オプション]ダイアログを開く必要があった)。

 実際にIPythonを利用して、グラフ描画を行っている様子を以下に示す。

[Interactive]ウィンドウでグラフをインラインに描画しているところ [Interactive]ウィンドウでグラフをインラインに描画しているところ

 [Explore interactive scripts]リンクをクリックすると、[Interactive]ウィンドウの初期化スクリプトを格納するフォルダーがWindowsエクスプローラーに表示される。このフォルダーにPythonファイルを置くと、[Interactive]ウィンドウを開いたときやリセットしたタイミングでそのスクリプトが実行される。[Interactive]ウィンドウで毎回同じことをするのであれば、それらをまとめてスクリプトにしておくとよいだろう。

 この他にも、Pythonに関連して「Data Science」ワークロードのリリースも予定されている。


 本稿では、VS Previewを紹介した。これは、将来のリリースでVSにどんな新機能が取り入れられるかを事前に「VS大好き」な開発者に向けて提供しようという試みであり、マイクロソフトが進めている「Insider」プログラムのVS版ともいえる。VSの将来に興味がある方は(ディスク容量に余裕があれば)積極的にインストールしていこう。

 サイドバイサイドのインストールが可能なので、ある程度は安心してVS Previewをインストール/アンインストールできるはずだ。ただし、英語版のFAQには「サイドバイサイドで製品版のVSをインストールしているときに、VS Previewをアンインストールしたら、念のため、VSインストーラーから製品版の方で[修復]を実行しておいてね」(意訳)とあるので、気になる人はVS Previewのアンインストール時には、製品版のVSに対して修復インストールを行っておくようにしよう。

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