NECが光信号の到達経路拡大と通信容量の増加を両立できる次世代の光ノード技術を開発した。「1チャネル当たり400Gbpsクラス」の通信に耐え、伝送距離1.5倍、通信容量25%増加を実現するという。
NECは2017年3月17日、光信号の到達経路拡大と通信容量の増加を両立できる次世代の光ノード技術を開発したと発表した。
今回発表された次世代光ノード技術は、2013年から同社が参画している「NICT エラスティック光通信ネットワーク構成技術の研究開発」の一環。光信号の伝送距離を1.5倍に、光信号経路数の増加による空き容量を、4×4メッシュ光ネットワークトポロジーモデルで25%向上させられるという。急激な需要変動や障害が発生しても空き容量に到達性の高い光信号経路を追加で割り当てられるようになることから、新世代の光ネットワークに求められる「より堅牢」なネットワーク環境を構築できるようになるとしている。
光ネットワーク技術は、波長多重伝送技術と光信号経路ネットワーク技術、それぞれの質を共に磨き上げていくことが必要とされている。前者は光通信にデジタル信号処理を適用したデジタルコヒーレント技術を用い、大容量化を実現する技術。後者は大容量の光信号を、光のまま効率よく切り替える技術となる。今後の爆発的な増加が予測されるデータトラフィックに対応していくための課題として、信号品質の劣化や低減への対策、光信号経路の到達距離の延伸、容量増加対策が挙げられる。特に次世代の大容量ネットワークに必要とされる「1チャネル当たり400Gbpsクラス」に達する波長多重光ネットワークでは、既存の通信インフラを有効活用しながらも、より高い光通信品質を実現する技術が求められていた。
今回NECが開発した技術の要素は、主に「光フィルター」「送信光波長制御」「ガードバンド制御」の3つとなる。
到達距離を低下させる要因となる帯域狭窄(きょうさく)は、通信経路の切り替え装置内にある光フィルターの帯域幅を広げることで低減できる。ただしその帯域幅を広げると、隣接する光信号との干渉(クロストーク)が発生してしまう。そこで同技術では、フィルターでの帯域狭窄による欠損と干渉とのバランスをとって伝送特性がよくなるように、フィルターの透過帯域特性に応じて波長を制御するようにした。こうすることで、多数の光ノードが通過する「多段中継時の信号到達性の課題」を解消できるようになるという。
併せて、送信する光信号のガードバンド(空白帯域)の割り当てをきめ細かく制御することで、「光波長の収容率」も向上させている。
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