もろみの品温を管理する「IoT酒造品温モニタリングシステム」、ラトックシステムが開発IoTで酒質管理を支援

ラトックシステムは、酒造の酒母、もろみ工程での「品温管理」をIoT技術で支援する「酒造品温モニタリングシステム」を開発。酒造で重要な工程となる、酒母やもろみの品温管理をIoTシステムを用いて支援する。

» 2017年04月10日 11時00分 公開
[@IT]

 ラトックシステムは2017年4月6日、IoT(Internet of Things)システムを活用した「酒造品温モニタリングシステム」を開発したと発表した。2017年5月中旬に提供を開始する。

photo 「酒造品温モニタリングシステム」のシステム構成図

 同システムは、酒造における酒母やもろみの品温管理をIoTシステムを用いて支援する酒造業向けのソリューション。酒造タンクにセンサーを取り付け、±0.3度の精度で1時間ごとに品温と室温を自動計測し、Sub-GHz(920MHz)帯の無線通信を用いて計測結果をグラフ表示するというもの。

 清酒の酒母造りやもろみ造りの工程では、杜氏や熟練した蔵人の経験に基づき、品温の変化で発酵の進行を判断している。品温管理は1日2回程度の計測が一般的で、熟練者による「刻々と変わる状況の変化に気付き、即時対応する体制」が酒の品質を保つのに必須とされる。同システムでは自動計測の仕組みを取り入れて、常時品温を計測する。もろみの状態を昼夜問わず見守れるようになり、現場の負担も軽減できるという。

photo 酒造品温モニタリングシステムの仕組み

 同システムでは、品温モニタリング向けアプリケーション「もろみ日誌」を用いて、もろみの管理に用いられる「BMD曲線」や「A-B直線」のグラフを的確に描画し、進行状況を確認しながら総合的に品温を管理できるようにする。Amazon Web Services(AWS)の一部サービスを用い、指定した品温の範囲を超えたときのアラート通知機能なども実装する。

 品温センサーと管理PC間の通信可能距離は最大で250メートル。センサーはバッテリーで動作する仕様となる。

 価格は、品温センサー(ケーブル長3メートル)のキットが5万円(税別、以下同)から、管理PCに接続する無線通信用アダプターが1万5000円、品温モニタリング向けアプリケーション「もろみ日誌」の利用料がID当たり7000円/月(契約は2年単位)となる。販売や設置、サポートは、酒類メーカー向け製造販売システムを手がけるハートコンピューターが担う。

特別企画:IoT アーキテクチャカタログ

グローバルでデジタルトランスフォーメーションが進む中、国内でもIoTに取り組む企業が急速に増加している。だが成功事例が着実に増えつつある半面、大方の企業にとってIoTはまだ高いハードルであるようだ。特別企画「IoT アーキテクチャカタログ」ではそうした国内企業の実態を基に、ハードルを乗り越え実践に乗り出すための情報を包括的に提供していく。




Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。