“論より証拠”ということで、Windows UpdateのUIに示されるダウンロードサイズと、実際のダウンロードサイズが全く違うということを示しましょう。正確に計測する方法もあると思いますが、今回は簡単、かつひと目で分かるという理由から、ネットワークインタフェースのプロパティに示される受信バイト数と、「タスクマネージャー」の「パフォーマンス」タブを使って示します。
2017年4月の時点で、「2017年3月 x64ベースシステム用Windows 8.1向けセキュリティマンスリー品質ロールアップ(KB4015550)」だけがインストールされていないWindows 8.1(x64)を用意し、KB4015550の更新を検出させます。Windows UpdateのUIは、更新プログラムのサイズを「221.2MB」と表示しました。
タスクマネージャーでネットワークのアクティビティーを確認し、ネットワークI/O処理が行われていない安定した状態になったら、現在の受信バイト数(742,885バイト)を確認した上で、「更新プログラムのインストール」ボタンをクリックしてダウンロードとインストールを開始します(画面6)。
ダウンロード中のサイズも「221.2MB」のままでしたが、「5%」の状態が長く続きます。タスクマネージャーを見ると、Windows UpdateのUIにダウンロード中と表示されていても、ほとんど通信は発生していません(画面7)。
その後、プログレスバーは100%まで進むことはなく、いきなり「インストールの準備をしています」→「更新プログラムをインストールしています」になり、インストールが完了して再起動待ちの状態になります。この時点で、受信バイト数は「9,807,274バイト」でした(画面8)。
Windows Update前後の受信バイト数の増分は、約8.6MBです。この増分にはWindows Update以外のネットワーク処理も含まれている可能性はありますが、Windows UpdateのUIに表示された「221.2MB」と明らかに違うことは一目瞭然でしょう。
Windows 10 Creators Update(バージョン1703)はリリースされたばかりなので、まだファイルサイズは小さい(4月のKB4016240はx86で215.0MB、x64で341.2MB)ですが、Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607)以前のx64版とWindows Server 2016向けの累積的な更新プログラムは、既に1GBを超えています。
累積的な更新プログラムが配布されるたびに(それもWindows 10からは定例更新日とは限りません)、Windows UpdateのUIに「更新プログラムをダウンロードしています(合計:1.xGB)」と表示されたとしたら、ユーザーは甚大なストレスを受けるに違いありません。このことが、Windows 10のWindows Updateが“更新プログラムのダウンロードサイズを示さない最大の理由”であると、筆者は想像しています。
Windows 7やWindows 8.1のWindows UpdateのUIが現在の仕様のままである限り、表示される更新プログラムのサイズと実際のダウンロードサイズの差は、今後も拡大し続けます。
現在の「セキュリティマンスリー品質ロールアップ」には、2016年9月の非セキュリティ更新と、10月以降の新規のセキュリティおよび品質更新が含まれていますが、マイクロソフトのアナウンスによると2017年後半から数カ月かけて、2016年9月より過去にリリースされた修正プログラムについてもロールアップに追加していく計画のようです。これが1GBを超えるようになったら、実際にダウンロードサイズははるかに小さいとしても、大きな話題になるに違いありません。1GBを超えるのも、そう遠くないかもしれません(画面9)。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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