「シリコンバレーの伝説」の1人とも言われるダイアン・グリーン氏が、Google Cloudの統括責任者に就任して1年半。以来、社内を大きく変えてきたと評価される同氏に、Google Cloud Next Tokyo 17で2つの質問を投げかけた。
VMwareの共同創立者兼CEOとして、同社を大成功に導いたダイアン・グリーン氏は2015年11月、Googleのクラウドビジネス統括責任者に就任した。その後、技術志向の強いGoogleのクラウド事業部門を、顧客志向、パートナー志向に変えてきたことを評価する声は多く聞かれる。
Google Cloud Next Tokyo 17のため来日したグリーン氏に、筆者は記者会見で次の2つの質問をした。
――あなたは(最近)、「(Google Cloudが)5年後にはナンバーワンプレーヤーになれる見込みがある、ただ、サービスを完璧にパッケージングできていないだけだ」と話したと報道されています。これについて説明してください。ナンバーワンになるためには何をする必要があると思っていますか?
グリーン氏 Forbesが主催したカンファレンスで、「クラウド市場で勝てると思っているか」と聞かれ、「5年以内にはあり得る」と答えました。
私がそう思う理由は、素晴らしい人たちがいて技術もあり、サポートが得られていると考えるからです。
既に私たちは、インフラ、セキュリティ、機械学習、AI、データ分析など、多くの分野で先行していて、競争力に優れていると思います。ただ、勝利するには、人々が当社のプラットフォームを使う以外に選択肢がないと思うほど、卓越していなければなりません、
それが私たちの目標です。人々がそれぞれのビジネスを推進するために必要な(技術的)進歩を達成することです。
もう1つ、既に比較的大きな差別化ポイントとなっているのは、価格体系です。Google社内では「Googleはクラウドをクラウドに戻す(We put the cloud back in cloud at Google)」というジョークを言うことがありますが、(本当の意味で)使った分だけ支払っていただいています。分単位の課金ですし、仮想CPUコア数とメモリで仮想マシンを自由に構成できます。事前支払い(でディスカウントを得たい)場合でも、購入した分を柔軟に使えます。
こうした機能をはじめ、Googleは先進的な、洗練されたテクノロジー実装でよく知られています。加えて、顧客に対するサービス提供の仕方、パートナーシップのやり方が、成功に導いてくれると思います。
ただ、これは非常に大きな市場です。現時点では約400億ドルだと思いますが、(2020年には)1兆ドルにも達するといわれていますので、大きな伸びしろがあります。
――あなたは日本を分かっていますよね。VMware時代の経験から、日本のエンタープライズIT市場を理解していると思います。Google Cloudに関して、日本市場が他と異なる部分はあると思っていますか。日本市場で勝つために重要だと思うことはありますか。
グリーン氏 私がこの国で強い印象を受けるのは、人々の抱いている志やビジョンです。AIなどの技術的ブレークスルーを全面的に受け入れ、活用しようとしています。
そして、おそらく他の市場に比べ、日本では全ての人たちに力を与え、(余計な)負荷を軽減することが重要視されています。やるべきことを達成するために必要な人材とワークライフバランスを確保しようとしています。これは非常にユニークです。他の市場でも同様な傾向は多少見られますが、日本では非常に強く、私たちとしてもエキサイティングなことだと感じます。
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