CBからCBBへの切り替えは、「グループポリシー」や「ローカルコンピューターポリシー」を使って構成することもできます。Windows 10 バージョン1511からは、そのポリシーを使用して機能更新プログラムや品質更新プログラムの受信をさらに延期することも可能になっています。この機能を「Windows Update for Business」と呼びます。Windows Update for Businessの機能もまた、Windows 10のバージョンによって違いがあることに注意が必要です。ポリシーは、次の場所にあります。
Windows 10 バージョン1511では、機能アップグレード(後の機能更新プログラム)について新バージョンのCBB向けリリース後さらに最大8カ月(つまり、CBリリース後12カ月)、品質更新プログラムについてリリース後最大1カ月、それぞれ月単位、週単位で延期することができます(画面5)。なお、機能アップグレードの延期については、バージョン1607のCBB向けリリースが2016年11月30日なので、間もなくこのポリシーは意味がなくなります。
Windows 10 バージョン1607では、機能更新プログラムについて最大180日、品質更新プログラムについて最大30日、それぞれ日単位で延期することができます(画面6)。また、CBBだけでなく、CBについても、延期をコントロールできるように変更されました。
Windows 10 バージョン1703では、機能更新プログラムについて最大365日、品質更新プログラムについて最大30日、それぞれ日単位で延期することができます。CBの延期のコントロールも引き続き可能です(画面7)。
各バージョンの最大延期期間を超えて延期したい場合や、途中のバージョンをスキップしたい場合は、WSUSでコントロールする方法があります。ただし、各バージョンは、公開後のサポート期間は最低18カ月であることに注意してください。既定のCBとCBBの標準(4カ月延期)の場合、1年に2回のサイクルでアップグレードが必要になりますが、Windows Update for BusinessやWSUSを適切に利用することで、最大1.5年に1回の緩やかなサイクルで運用できるようになります。
なお、Windows 10 バージョン1607以降、Windows Update for BusinessとWSUSは併用できる仕様になりましたが、特定の条件下においてWindows Updateに失敗するという問題が報告されています。この問題については、Windows 10 バージョン1607およびバージョン1703向けの今夏リリース予定の品質更新プログラムにおいて修正されるとのことです(最新情報:バージョン1607向けには2017年7月の累積更新プログラムKB4025334(ビルド14393.1532)でこの問題を回避するためのポリシー設定が利用可能になりました)。
このように、これまでリリースされてきたWindows 10の全てのバージョンを対象にすると、いろいろと変更が激しく、新しいサービスモデルを正しく理解するのが困難です。移行対象となるWindows 10のバージョンおよびその次のバージョンに的を絞って仕様を調査し、実機や仮想化環境で評価することをお勧めします。特に、Windows 10の更新が業務に大きく影響しないように、更新の延期、一時停止、WSUSでの運用に関して精査するべきです。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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