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» 2017年07月27日 05時00分 公開

Windows 10の導入、それはWindows as a Serviceの始まり企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(2)(2/4 ページ)

[山市良,テクニカルライター]

WaaSの既定は常に最新、企業向けには4カ月遅れの安定版

 WaaSでは「Current Branch(CB)」「Current Branch for Business(CBB)」「Long Term Servicing Branch(LTSB)」の3つの更新ブランチによって、品質更新プログラムや機能更新プログラムが提供されます。LTSBを除くWindows 10の既定はCBです。Windows 10 HomeエディションはCBのみで提供されます。Windows 10 Pro、Enterprise、Educationは、CBからCBBに切り替えることも可能です。

 なお、3つのブランチの他に「Windows Insider Preview」というブランチもありますが、これは開発中のビルドに対するフィードバックの収集が目的であり、企業でこのブランチを考慮する必要はないでしょう。もちろん、導入に向けて新機能をいち早くテストしたいというニーズがあるかもしれませんが、正式リリース時には機能や仕様が変わっている場合もあることに留意してください。もし、企業内でWindows Insider Previewを利用する必要がある場合は、運用環境とは隔離された評価/テスト用の環境を構築するべきです。

 Windows 10の新しいバージョンが利用可能になると、すぐにCB向けにリリースされ、Windows Updateで配布されます。WSUSを利用している場合、CBやCBBに関係なく、更新の配布をコントロールできますが、新しいバージョンはCB向けのリリースと同時期にWSUSに対しても提供されます。新しいバージョンのリリースは、以前は年に2〜3回とされていましたが、最近になってOffice 365(おそらくOffice 365のDeferred Channel)と合わせて、3月と9月(実際のリリース日は翌月以降にずれ込むこともあるでしょう)の「年に2回」に固定されることが発表されました。

 Windows 10の新しいバージョンは、CB向けのリリース後、おおむね4カ月後にCBB向けに配布されます。CBB向けのリリースとは、CB向けのリリース後の品質更新プログラムによって、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)やパートナー、企業顧客に展開できるまで安定したとマイクロソフトが判断したということです。例えば、Windows 10 バージョン1607がCB向けにリリースされた2016年8月3日時点の詳細なビルド番号は「14393.10」でしたが、CBB向けにリリースされた2016年11月30日の時点では「14393.447」になっていました。OSビルド番号に続くリビジョン番号は、「累積的な更新プログラム」と呼ばれる品質更新プログラムによって増加します。

 公式ドキュメントによると、CBは最新の1つのビルドだけがサポートされ、旧ビルドは最新ビルドが利用可能になってから60日の猶予期間経過後に品質更新プログラムを受信できなくなります(後述しますが、実際はこれとは異なります)。

 また、おおむね4カ月後のCBB向けリリースは、複数のビルドをサポートします。そして、リリースされた全てのビルドは、(CB向けに)公開後、最低18カ月間、品質更新プログラムのサポートが提供されます(表1)。

更新ブランチ 対象のエディション 機能更新プログラムのリリース サポート対象
Current Branch(CB) Home、Pro、Enterprise、Education 年に2回(おおむね3月と9月) 最新ビルドのみ。最新ビルド提供後60日の猶予期間後に旧ビルドは品質更新プログラムを受け取れなくなる
Current Branch for Business(CBB) Pro、Enterprise、Education CB向けリリースのおおむね4カ月後 CB向けリリース後18カ月
Long Term Servicing Branch(LTSB) Enterprise LTSB 2〜3年に新バージョンをリリース 最低10年
表1 Windows as a Service(WaaS)の基本的な考え方(2017年5月3日時点、今後、変更の可能性あり)

 Windows 10の各バージョン(各ビルド)にはその新しいバージョンの提供によって、サポート期限が決まります。現時点のサポートポリシーでは、“適切に更新されている限り”、少なくとも2025年10月15日までサポートが継続されます。それまでに、その後のサポートポリシーが決まるはずです。

 このWaaSの基本的な考えは変わりませんが、詳細については度々変更されます。WaaSに関する古いドキュメントや記事を見たときは、その内容をうのみにせずに、以下のドキュメントで最新情報を確認してください。年に2回、3月と9月にCB向けにリリースされることについては、既に以下のドキュメントに反映されています。また、以前はこのドキュメントに「一度に2つのCBBビルドをサポートし、60日の猶予期間もサポートします」という文言がありましたが、現在はありません。最新のドキュメントでは、「各機能更新プログラムのリリースは、リリース時から18カ月間サポートおよび更新されます」(CB向けリリース後最大18カ月サポート)となっています。

 今後、CBやCBBという名称についても、Office 365の更新ブランチと合わせて、それぞれ「Semi-annual Channel(Pilot)」と「Semi-annual Channel(Broad)」に変更される予定のようですので、最新情報については頻繁に確認することをお勧めします。

 実は、現実には、前出の表1の通りにはなっていません。表1では「CBは最新の1つのビルドのみサポートされる」となっていますが、Windows 10初期リリース(バージョン1507)はつい最近、2017年5月にサポートが終了したばかりです。また、CBBはバージョン1511と1607の2つのビルドがサポートされていますが、CBも最新ビルドだけでなく、バージョン1511以降の3つのバージョン(1511、1607、1703)がサポートされており、品質更新プログラムを受け取ることができています(表2表3)。

Windows 10バージョン OSビルド Current Branch(CB)開始 Current Branch for Business(CBB)開始 サポート期限
Windows 10 バージョン1507(初期リリース) 10240 2015年7月30日 2015年7月30日 2017年5月10日
Windows 10 バージョン1511(November Update) 10586 2015年11月13日 2016年4月9日 2017年10月10日
Windows 10 バージョン1607(Anniversary Update) 14393 2016年8月3日 2016年11月30日 CB向けリリース後18カ月
Windows 10 バージョン1703(Creators Update) 15063 2017年4月12日 2017年7月27日 CB向けリリース後18カ月
Windows 10 バージョン17xx(Fall Creators Update) 未定 未定(2017年9月ごろ) 未定 CB向けリリース後18カ月
表2 CBとCBBの実際の状況(2017年5月末時点)

Windows 10 LTSBバージョン OSビルド LTSB公開日 サポート期限
Windows 10 Enterprise 2015 LTSB 10240 2015年7月30日 2025年10月15日
Windows 10 Enterprise 2016 LSTB 14393 2016年8月3日 2026年10月13日
表3 LTSBの状況(2017年5月末時点)

 バージョン1607以降、企業はCBとCBBの両方を細かくコントロールできる(例えば、CBBだけでなく、CBも遅延できる)ようになっており、どちらのブランチを選択したとしても、限られた範囲にパイロット展開し、その後、全社展開するといった運用が可能になりました。このことが直接関係しているかどうか定かではありませんが、CBBでサポートされている限り、CBでも品質更新プログラムを受け取ることができるようになっています。Windows 10のUI(ユーザーインタフェース)やポリシーへの反映は、2017年9月ごろに予定されているWindows 10 Fall Creators Update、またはそれ以降になるでしょう。

最新情報(2017年7月28日追記)

 2017年7月27日(米国時間)、Windows 10 バージョン1703のCBB向けリリースが発表されました。リリース情報としては、今回のリリースから「Semi-Annual Channel」という表記と概念に変更になっています。

 新しい概念ではCBが「Semi-Annual Channel(Targeted)」(以前の発表時には(Pilot)でしたが変更されました)、CBBが「Semi-Annual Channel」(以前の発表時にあった(Broad)という表記は削除されました)。

 なお、Windows 10のUIやグループポリシー設定は以前のCB/CBB表記のままです。また、Windows 10 バージョン1703のSemi-Annual Channel向けリリースの発表と同時に、Windows 10 バージョン1511のサポートが「2017年10月10日」に終了することが発表されています。


最新情報(2017年8月28日追記)

 2017年8月23日にリリースされたWindows 10 Insider Previewのビルド「16273.1000」のポリシー設定において、従来のCB/CBB表記から「半期チャネル(ターゲット)」「半期チャネル」(英語版では「Semi-Annual Channel(Targeted)」「Semi-Annual Channel」)の表記に変更されていることを確認しました。ただし、これはWindows 10 Fall Creators Updateに向けた開発中のプレビュービルドであり、さらに変更される可能性もあります。


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