Microsoft、エンタープライズ要件を満たすブロックチェーン構築フレームワーク「Coco Framework」を発表2018年初頭にOSSコミュニティーへ寄贈予定

Microsoftが、ブロックチェーン構築フレームワーク「Coco Framework」を発表。企業導入を踏まえたエンタープライズクラスの要件を満たす機能を実現する。2018年初頭にOSSコミュニティーへ寄贈予定としている。

» 2017年08月15日 10時00分 公開
[@IT]

 Microsoftは2017年8月10日(米国時間)、エンタープライズ要件を満たすブロックチェーンネットワーク構築フレームワーク「Coco Framework(以下、Coco)」を発表した。機密性が確保された大規模なブロックチェーンを実現し、企業向けブロックチェーン技術の本格導入や展開を促す。

Introducing the Coco Framework(YouTube/Microsoft Cloud Platformチャンネル)

 ブロックチェーンはパブリック型、コンソーシアム型、プライベート型に大別される。Cocoはノードとアクターが明示的に宣言され、管理される機密性の高いコンソーシアムがブロックチェーンネットワークを利用することを想定する、コンソーシアム型と位置付けられる。Microsoftは、「Cocoによる分散型台帳の構築アプローチは、企業が求めるセキュリティと不変性を犠牲にすることなく、企業に必要なスケーラビリティ、分散ガバナンス、高い機密性を実現する」と述べている。

 Cocoは、既存のブロックチェーンプロトコル「Intel Software Guard Extensions(Intel SGX)」や「Windows Virtual Secure Mode(VSM)」のような“Trusted Execution Environment(TEE:信頼できる実行環境)”、分散システム、暗号技術を利用して、企業での利用に対応したブロックチェーンネットワークの構築を可能にする。Cocoで構築されたブロックチェーンネットワークは、以下の特長を持つ。

  • データベースの速度に迫るスループットとレイテンシを実現する
  • 機能豊富で柔軟性が高く、ビジネスに即した機密保持方式を利用できる
  • 分散ガバナンスを通じたネットワークポリシー管理を実現する
  • 非決定性トランザクションをサポートする

 具体的には、こうした機能によって既存のブロックチェーンプロトコルを統合し、企業利用に対応した包括的な台帳ソリューションを実現するための信頼できる基盤としての役割を果たす。あらゆるブロックチェーンプロトコルと互換性があるオープンなフレームワークとして設計されており、既に「Ethereum」プロトコルの統合を進めている。クラウドでもオンプレミスでも、互換性のあるTEEをサポートするOSやハイパーバイザー上で機能する。

 こうした柔軟性を確保する目的の1つは、コミュニティーがCocoを、新たなプロトコルと統合したり、各種ハードウェア上で試したり、企業の固有のシナリオに適応させたりできるようにすることにある。なお、J.P. Morgan Chase、Intel、R3は、それぞれ「Quorum」「Hyperledger Sawtooth」「Corda」の台帳とCocoを統合できるようにする方針を表明している。また、Microsoftは2018年初めに、Cocoのソースコードをオープンソースコミュニティーに寄贈する計画も示している。

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