2017年8月16日、Microsoft Azureのクラシックポータルに、仮想マシン(クラシック)サービスに関する重要な通知が表示されるようになりました。クラシックポータルでの仮想マシン(クラシック)の利用は「2017年11月15日」に終了し、以後は新しいポータルでのみ利用できるようになるそうです。
現在、Microsoft Azureには「新しいポータル」とも呼ばれる標準のポータル(https://portal.azure.com)と、従来の「クラシックポータル」(https://manage.windowsazure.com)の2つがあります。クラシックポータルは、古いAzure Service Management(Azureサービス管理)APIに基づいています。
一方、新しいポータルは、Azure Resource Manager(Azureリソースマネージャー)APIに基づいていますが、古いAzure Service Management APIもサポートしています。そのため、Azure仮想マシンの場合、クラシックポータルではクラシックデプロイモデルの仮想マシンのみの作成と管理、新しいポータルではリソースマネージャーデプロイモデルとクラシックデプロイモデルの両方の仮想マシンの作成と管理が可能です。
今回の通知は、クラシックポータルにおける仮想マシン(つまり、クラシックデプロイモデルの仮想マシン)の作成と管理機能が「2017年11月15日に終了」することを事前に知らせるものです(画面1)。以降は、新しいポータルでのみ仮想マシンの作成と管理が可能になります。
また、クラシックデプロイモデルのAzure仮想マシンに既定で作成、構成されるクラウドサービスについても、2017年11月15日以降は新しいポータルでのみ作成および管理することができます。なお、仮想ネットワークの作成と管理については、仮想マシンやクラウドサービスよりも早く、「2017年9月30日」にクラシックポータルでのサポートが終了することに注意してください。
今回の事前通知は、クラシックポータルでのサービス終了についてであり、Azure Service Management APIに基づいたクラシックデプロイモデルの仮想マシンの新規作成や管理ができなくなるということではありません(その発表はありません)。
当面は、クラシックデプロイモデルの仮想マシンについても、新しいポータルやコマンドラインツール(Azure PowerShell、Azure CLI)を用いて、引き続き作成や管理ができるでしょう。新しいポータルでは、クラシックデプロイモデルとリソースマネージャーデプロイモデルの両方の仮想マシンを、同じポータル画面(同じ仮想マシン一覧)から管理できるようになっています(画面2)。
新しいポータルとリソースマネージャーは2015年12月に正式版となりました。そして、Microsoft AzureではAzure仮想マシンに限らず、クラシックポータルでのみ利用可能なサービス(古いサービスや新しいポータルに移行、統合されていないサービス)を除き、新しいポータルやリソースマネージャーを使用することが推奨されています。
Azure仮想マシンの場合、新機能はリソースマネージャーデプロイモデルの仮想マシンでのみ利用可能な場合がありますし(例えば、ストレージアカウントが不要なManaged Diskはリソースマネージャーでのみ利用可能)、高度な構成(複数のネットワークアダプターやロードバランサーの構成など)が可能である点や、作成できるリソースの上限の違いなどもあります。デプロイモデルの違いやリソースの上限については、以下のドキュメントで確認できます。
クラシックデプロイモデルの仮想マシンは、比較的簡単な手順でリソースマネージャーデプロイモデルの仮想マシンに変換、移行することが可能です。詳しくは、本連載第20回の記事を参照してください。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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