なお、2015年からは海の家の売り上げ向上の一環としてデジタルサイネージを設置。メニューの売れ筋ランキングをリアルタイムに表示したり、THE NARUTO BASEに関する情報を提供したりしていた。
では、デジタルサイネージにリアルタイムにデータを表示するために、SkyDream Shonan Beach Loungeでは、どのような業務システムを構成したのだろうか。このシステムの基盤を担っているのが、Azure上で稼働するコンポジットクラウドプラットフォーム「SkyDream」だ。SkyDreamは、EAIツールの「SkyConnect」によって、さまざまな業務アプリケーションやサービスを連携し、業務要件に合う形で組み合わせて利用できるフルクラウドのシステム。QOOpaも、この1つのコンポーネントとして提供されている。
具体的には、顧客からのオーダーをQOOpaで受け付け、会計処理を行う。また、SkyConnectがデータ連携のハブとなり、セカンドファクトリーの基幹システムにデータを格納すると同時に、「SQL Azure」にデータを蓄積。このデータを「Azure Machine Learning」で解析し、その結果をBIダッシュボード「MotionBoard Cloud」に表示する。このMotionBoard Cloudをデジタルサイネージとして使っているわけだ。さらに、SkyConnectによって「kintone」と接続し、発注/在庫管理およびシフト管理とのシームレスなデータ連携も実現しているという。
現在では、大きなトラブルもなく、順調に稼働している海の家の業務システムだが、「スタート当初は失敗の連続だった」と大関氏は振り返る。特に、頭を悩ませたのが、海の家ならではの「暑さ」の問題だった。
「猛暑によってハードウェアがダウンしてしまう。PCやタブレットはもちろんだが、モバイルルーターがダウンしてネットワークがつながらなくなることが多かった。そのため、ルーターの周りに保冷剤を巻くなどして、暑さ対策を行っていた。また、暑さに加えて、海岸の砂の影響でタブレットに不具合が生じることもあったため、防塵(じん)対策を考慮した製品を選択するようにした」
なお、ネットワークの問題については、2017年、藤沢市観光案内所に光回線を引き、Wi-Fiアンテナを設置。これにより、海の家でのフリーWi-Fi環境を整備している。
今後のSkyDream Shonan Beach Loungeの展望について、大関氏は、「2020年東京オリンピックで、江の島はセーリング競技会場になることが決まっている。この2020年に向けて、SkyDream Shonan Beach Loungeでは、今後もIoTを活用したさまざまな実証実験を行い、新たなビジネスの可能性を模索していく。2017年以降の取り組みにも期待してほしい」と意欲を見せた。
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