Googleはインターネットを再構築したいのか(後編)「The Next Platform」で読むグローバルITトレンド(10)(3/3 ページ)

» 2017年09月11日 05時00分 公開
[Timothy Prickett Morgan, The Next Platform]
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もうSDNに関する論争は終わった

――興味本位でもう1つお聞きしたい。あなたはSDNの4つの主要な要素について話したが、それらはGoogleのネットワーク技術の今のけん引役なのか? それとも、けん引役は他の技術なのか? 私が知りたいのは、他にけん引役の技術があるのか――つまり、SDNはもう基本的な技術になっているのかだ。

バーダット氏:確かにある。私がプレゼンテーションで説明したことは、私が特にそのことを念頭に置いて、「GoogleではSDNをパブリックインターネットに適用するようになっており、SDNはとっくに過渡期を越えている」と考えているということだった。

 つまり、3〜4年前に「SDNは良いアイデアか」「適切なネットワーキング方法か」どうかをめぐって大論争があったが、私はSDNが既に過渡期を過ぎて定着していると認識している。Google社内でも、数年前にはSDNをめぐって大論争が起こった。だが、もう争点はSDNではなく“N”、ネットワーキングだ。そしてわれわれは、“ソフトリファインドネットワーキング”によってネットワーキングを行っている。繰り返しになるが、SDN論争は終わっており、SDNは過渡期を越えた。やるべきことがたくさんある。

 では、SDNはGoogleのネットワーク技術のけん引役なのかと言えば、そうではない。われわれは今後数年の間に、ネットワーキングの5つ目や6つ目の柱について公表するだろう。だが現在は、次にどのような課題に取り組むかを検討しているところだ。具体的には、SDNを利用したネットワーキングの影響を検討している。例えば、管理やネットワークのセキュリティ、可用性の観点から、ネットワーキングエコシステムにどのような影響があるかといったことを検討している。

――2年前、あなたはJupiterネットワークに関するプレゼンテーションを行い、5Pbpsスイッチファブリックの必要性について話した。このファブリックが必要な理由の説明は、段階を踏んだ非常に論理的なものだった。その必要性に関する意見は変わったか? あるいは、今もできるだけ早くより広い帯域幅を確保したいか?

バーダット氏:できるだけ早急により広い帯域幅を確保したいと熱望している。また私は、併せて取り組むべき課題があると思う。それは、「使用可能な帯域幅に関する高レベルソフトウェアの前提の一部をどう取り払うか」だ。別の言い方をすれば、多くのソフトウェアが低速なネットワークを想定して作られている。そのため、ネットワークを大幅に高速化しても、ソフトウェアがボトルネックになり効果が芳しくないことが多い。

――そうしたソフトウェアの作り方はお粗末だが、作成当時は意味があったに違いない。

バーダット氏:ソフトウェア技術者として異論もなくはないが、あなたの言わんとすることはとてもよく分かる。私自身、いつもそう感じる。

――Googleは、ネットワークに関しては全体的に、移行のどの段階にいるのか? データセンターの機器は40Gbpsから最大100Gbpsに移行しているのか? 200Gbpsイーサネットについてはどう考えているのか? また、InnoviumとMellanoxは400Gbpsスイッチを投入しようとしており、多くのハイパースケールデータセンター運営企業が後押ししている。実際、GoogleもInnoviumに出資している。400Gbpsスイッチにも興味があるのではと思うが。

バーダット氏:われわれはネットワーキングの黄金時代にいる。われわれが移行計画のどの段階にあるかは具体的には話さないが、今、ネットワーキングに携わるのはエキサイティングだ。われわれがこの分野でスタートアップ企業を傘下に持つのは久しぶりだ。

 奇妙なことに、プロセッサの速度や進化のペースは鈍化しつつあるが、ネットワーキングにはこうした鈍化の兆しもない。私からすると、これは実に大きなチャンスだ。私の考えでは、ネットワーキングは基本的に、複数サーバによる並列処理をより活用できるようにすることで、コンピューティングパフォーマンス全体の向上に中心的な役割を果たすからだ。

――全く同じ意見だ。かなり長い間、ネットワーキングは差をつけられてきたが、ついに追いつこうとしている。

バーダット氏:その通り。移行について見ると、例えば、1Gbpsから10Gbpsへの移行にはかなり長期間かかった。10Gbpsから40Gbpsへの移行では改善され、40Gbpsから100Gbpsへの移行ではさらに改善された。あなたが指摘した200Gbpsや400Gbps以上への移行は、非常に迅速に進みそうだ。

出典:How Google Wants To Rewire The Internet(The Next Platform)

筆者  Timothy Prickett Morgan

IT industry analyst, editor, journalist


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