ITRがITトレンドの将来予測を行った「ITR注目トレンド2018」を公開。2018年に企業が注目しておくべきIT戦略テーマは何か。
IT調査会社のアイ・ティ・アール(以下、ITR)は2017年9月27日、2018年に企業が注目すべき12のIT戦略テーマを発表。テーマを「ビジネスの開発と遂行」「人材と組織の変革」「テクノロジーの高度活用」の3カテゴリーに分類し、それぞれに関連するキーワードと将来予測を「ITR注目トレンド2018」としてまとめた。
ビジネスの開発と遂行カテゴリーでは、「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」「RPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務自動化)」「デジタルレイバー(定型業務を自動化するソフトウェア)」などをキーワードに、「AIやロボティクスとの共存を前提とした業務プロセスの整備」を行う指針が示された。
具体的には、「AIやロボティクスの普及と拡大により、これまでは人手でまかなわれてきた多くの業務がデジタル化、自動化されることが想定される。つまり企業は、『人』と『機械』の役割分担を明確化し、両者の共存を前提とした組織体制と業務プロセスを整備していくことが必要」としている。2019年には企業をまたいだ業務やサービスを自動化するための進化型RPAが登場し、2021年には大企業のバックオフィス業務に費やされる労働時間の50%がAIやロボティクスに置き換えられると予測される。
人材と組織の変革カテゴリーでは、「データ分析に向けた人材確保とプロセスの自律化」が目標になる。この背景と今後について、「データ活用による企業競争力強化の期待から、経営者はデータサイエンティストの雇用や育成に積極的になりつつある。しかし、長期的な人材不足が予測されることから、機械学習を有効活用したデータ分析プロセスの自律化と、一般社員のビジネス統計スキル修得の組み合わせによってこの課題解決を検討しなければならない」とITRは提言している。
今後、大企業の50%が2018年までにデータサイエンティストの雇用と育成に本格着手し、2019年には主要なデータマイニングツールの全てが機械学習による「自律的データ分析機能」を備えるようになると同社は予測している。
テクノロジーの高度活用カテゴリーでは、「第2段階のクラウド活用戦略」が重要になると説いている。SaaS(Software as a Service)だけでなく、大規模基幹システムもクラウドベースで構築する企業が増えているのがその理由の1つ。2020年には大企業の50%が全社的なIT基盤にIaaS(Infrastructure as a Service)/PaaS(Platform as a Service)を採用し、企業の30%が次世代型ハイブリッドクラウドを構築。また、大企業の20%がサーバレスアーキテクチャを軸にした「FaaS(Function as a Service)」を活用するようになると予測されている。
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