Windows Server 2016を個別にWindows Updateで更新している場合、サーバが複数台になるとインターネット回線の帯域を大きく圧迫する可能性があるでしょう。社内でWSUSを運用しているとしても、ローカルネットワークの使用帯域を圧迫することになるかもしれません。個々のサーバで1GB以上のファイルをダウンロードするわけですから、ダウンロードの時間も余計にかかります。
筆者は毎月第二火曜日の翌日(日本時間)、朝一番に「Windows 10 update history」のページをチェックして、新しい累積的な更新プログラムの「Known issues in this update(この更新プログラムの既知の問題)」を確認するようにしています。
日本語のページもありますが、最新情報は英語ページでいち早く確認できます。また、既知の問題は時間の経過とともに更新(新たな問題の追加や回避策の提示など)されることがあるので、定期的にチェックしましょう。既知の問題があっても、親切に案内してくれることはまずありません。影響を最小限にするには、自分で情報収集するしかないのです。
例えば、Windows 10 バージョン1703では、一部のハードウェアで「ブルースクリーン(Blue Screen of Death:BSoD)」が発生するという既知の問題があるようです。また、2017年10月12日には、Windows 10 バージョン1607と1703の両方に影響する、WSUSへの更新の発行問題が既知の問題として追加されていました。その他にも、原因不明のBSoDに関する報告がユーザーフォーラムに上がっているようです。
今回、筆者はWindows Updateを実行する前に、Windows Server 2016でエクスプレス配信が行われない、そして次のエクスプレス配信が失敗することになるということが分かっていたので、今回の更新は物理環境だけにとどめました。1台は通常のWindows Updateでインストールできましたが、もう1台は「0x80005b4」のエラーで失敗しました。失敗した方については、Microsoft Updateカタログからフルパッケージをダウンロードしてインストールすることで更新できました。
Hyper-VやMicrosoft Azure上のWindows Server 2016の仮想マシンについては、問題が修正されるまで更新をスキップすることを選択しました(Windows Server 2016はWindows 10とは異なり、既定で自動的に更新されません)。
なお、本稿は累積的な更新プログラム「KB4041691(ビルド14393.1770)」のスキップをお勧めしているわけでは決してありません。筆者の環境はほとんどがテスト/評価環境であるため、めったに起動しないものも多いのです。更新管理は各自および各組織の判断、責任で行ってください。
少し心配なのは、共通の問題の影響を受けるはずのWindows 10 バージョン1607に対して、通常と同じようにエクスプレス配信が行われたことです。小さな修正で済めばよいのですが、次回の累積的な更新がフルダウンロードされて修正されるとなると、多くの一般ユーザーでネットワーク帯域が問題になるでしょう(どちらになるのか筆者は知る由もありません)。次回の更新に大きな影響がないとよいのですが……。
最近のWindows Updateは、本当に、本当にどうかしていると思います。Windows Server 2016は最低でも「10年」(Long Term Servicing Channelとして)、2027年1月まで更新サポートが提供されます。さらに、Windows Server Premium Assuranceで「プラス6年」のサポートが受けられることになっています。
Windows Server 2016のWindows Updateが改善される日はいつになるのでしょうか。サポート終了までの9年と少し(または15年と少し)、毎月のように何らかの問題が繰り返されるのでしょうか。本当に、本当にこの先が心配です。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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