ソニーは、ディープラーニング統合開発環境「コンソールソフトウェア:Neural Network Console」のクラウドサービス版をオープンβ版として無償公開した。ニューラルネットワークの設計や学習、評価などをWebブラウザで可能にする。
ソニーは2017年11月8日、ディープラーニングを活用したプログラム向けの統合開発環境「コンソールソフトウェア:Neural Network Console(以下、Neural Network Console)」のクラウドサービス版をオープンβ版として無償提供すると発表した。Neural Network Consoleは、2017年8月、「Windows」OSにのみ対応する形で無償公開されたが、クラウド版は、「Mac OS」や「Linux」などでも利用可能だ。
クラウドサービス版Neural Network Consoleのユーザーは、Webブラウザでソフトウェア開発が可能になるため、PCに開発環境をインストールする必要がなくなる。ソニーは、「(Neural Network Consoleの)開発環境は、直感的なGUIを備えており、Webブラウザ上ながらニューラルネットワークの設計や学習、評価などが効率よくできる」としている。
一般的に、ディープラーニングを利用したプログラムを開発する際には、画像認識や音声認識などの用途に応じた最適なニューラルネットワークを構築し、試行錯誤を繰り返して最適化する必要がある。開発者は、ニューラルネットワークの構造をプログラムのコードとして記述し、その「関数ブロック」を組み合わせることでソフトウェアを構築する。
一方、Neural Network Consoleは、ニューラルネットワーク構築の際、GUIを使って自由に関数ブロックを配置可能にした。これにより、ディープラーニングに取り組んだ経験のない開発者も、コアライブラリの機能を視覚的に確認でき、技能を習得できるとしている。
なお、同サービスの機械学習ライブラリ「Neural Network Libraries」は、ソニーの犬型ロボット「aibo」に採用されている。aiboでは、鼻先に埋め込んだ魚眼レンズで撮影した画像から人物を判定する処理の他、顔トラッキングやチャージステーションの認識、一般物体認識などにこのライブラリを利用している。
Neural Network Consoleのクラウドサービス(オープンβ版)は、「1アカウント当たりCPU学習は10時間まで」「ストレージは10GBまで」「プロジェクト数は10まで」という制約を備える。ソニーは今後、学習の高速化や複数のプロジェクトにまたがる学習の同時進行に向けて、複数のGPUを用いた高速演算機能などを有償で提供する予定だ。
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