IDC Japanは、「2017〜2021年の公共分野での第3のプラットフォームの国内市場予測」を発表。2018年から2020年にかけて、中央官庁や首都圏の自治体を中心に、東京オリンピック・パラリンピックを見据えた投資が伸びる可能性との見方を示した。
IDC Japan(以下、IDC)は2017年11月20日、公共分野(官公庁/医療/教育の3分野)向けのクラウドやモビリティ、データ分析、ソーシャル技術などの「第3のプラットフォーム」について、2017〜2021年の国内市場予測を発表した。2017年の支出額は、2016年から5.5%増の1兆407億円に達するという。
IDCは、同分野の成長率について、「2017年までは他の産業分野に比べて低めにとどまるものの、2018年以降は成長率が比較的高くなる」と予測する。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、中央官庁や首都圏の自治体を中心に、投資の加速が期待されるためだ。医療や教育分野でも、人材不足の打開を目的に、第3のプラットフォームに向けた支出が上向く見込みだ。IDCは、そうした動きの末、2021年の支出額が1兆4000億円に迫ると予想する。
IDCが2017年9月に実施した「国内ユーザー調査」では、「第3のプラットフォームを導入する目的」に「経営課題として抱える業務効率化や生産性向上」を挙げる公共組織や公共団体の割合が高かった。ただし、実際に第3のプラットフォームを導入した組織や団体のみに質問対象を絞った場合、最も多かった導入目的は「モビリティやソーシャルネットワーキング」だった。クラウドやデータ分析を導入する組織や団体は、全体の一部にとどまり、特に医療分野は導入に消極的だった。
大都市圏以外の地域では、税収減少の深刻化を受けて、ITへの投資も鈍化している。ただし、「地方創生」や「人材不足対策」「教育改革」といった喫緊の課題に対する解決策として、第3のプラットフォームの活用が期待されている。
一部、既に第3のプラットフォームを活用している地方自治体もあるが、多くの地方自治体では財源の確保や意識改革に時間がかかるなどの課題で活用が進んでいない。財源確保だけでなく、地域関係者の意識改革も、新たな仕組みの導入を阻んでいるようだ。
IDC JapanでITスペンディング リサーチマネジャーを務める市村仁氏は、「ITサプライヤーは、公共分野の各エンドユーザーに対して第3のプラットフォームの積極的な活用を促す施策を重点的に行うことが重要だ」と分析している。
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