ITインフラのモダナイズを進める企業は多いが、そのプロセスは短絡的な思考に基づくものになりがちだ。最大の効果を発揮するための、ITインフラモダナイゼーションの進め方を5つのステップで説明する。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
ITインフラ&オペレーション(I&O)の担当リーダーは、バイモーダルITインフラのモダナイゼーションプロジェクトを始める順番をしばしば逆にしてしまう。つまり、既存の資産やシステム(多くの場合、モード1の)を適切に評価、合理化、簡素化する前に、新しい(通常、モード2の)技術や人材に費用をかけてしまう。
「多くの場合、I&Oリーダーは設備投資や運用費を大幅に増やさずともインフラをシンプル化できる。そうすることで、将来に向けてITをビジネス成長の柱に据える賢明な投資を行うための、より強力なプラットフォームが構築できる」。Gartnerのリサーチバイスプレジデントを務めるフィル・ドーソン氏はそうアドバイスする。
Gartnerは2020年まで、モード1のモダナイゼーションプロジェクトの80%はコスト削減目標を達成できないだろうと予想している。不要な複雑さの軽減や解消がおろそかになっているからだ。しかも多くの場合、モード1プロジェクトが新しいモード2投資をどれだけ効果的にサポートするかは、モード1プロジェクトでシンプル化や合理化がいかに適切に行われているかによる。
ドーソン氏は、I&OリーダーにITインフラモダナイゼーションによって最大の成果を得るために、以下の5つのステップを踏むことを勧めている。
この段階では、企業のインフラはサーバの無秩序な増殖によって特徴付けられ、非常に効率が低い。ビジネス部門や特定のワークロードのニーズへの場当たり的な対応が行われ、システムが追加されていく一方でサイロ化が発生している。I&Oリーダーがこの状況に対処するには、まず資産の詳細なインベントリを作成しなければならない。これにより、コンソリデーション(整理統合)と合理化のプロセスを開始するのに必要な情報が得られる。
「コンソリデーションとは、物理サーバの数を減らすことを指し、合理化はさまざまに異なるサーバの種類を減らすことだ。どちらもITインフラのシンプル化の重要な側面だが、合理化は見過ごされがちだ。しかし、ほとんどの複雑なITシステムには、あまり利用されていないものや不適切なものが含まれる。合理化を欠いたコンソリデーションは、複雑さを軽減したインフラに不要な機能を温存することにしかならない」(ドーソン氏)
不要な資産を除去したら、SDN(ソフトウェア定義型ネットワーク)やコンピュートインフラ、ストレージなど、ITインフラ全体にわたる共通的な管理ツールおよびプロセスを実装する良いタイミングだ。これらはシンプルかつ、以降の全ステップの成功度を測定できなければならない。
この段階で、ITインフラの物理的な設置場所を減らす機会が訪れる。設置場所を減らせば不動産コストを削減でき、管理やソーシングをさらに簡素化できる。設置場所の削減はデータセンターの移転、オフィスの消灯とリモートオフィス/支社に関する規定の見直しを伴うことが多い。
このステップは複雑であり、全体的な目標はワークロードの密度と各サーバの効率を高め、物理資産をさらに減らすことにある。通常、仮想化は各物理資産にワークロードを集約し、ITインフラのTCO(総所有コスト)を削減するのに利用される。これは、自動化し、さらに効率を高めるべきワークロードやプロセスの有力候補を特定する格好のタイミングでもある。
物理資産を減らしたら、次のステップはインフラ内の論理資産の数と種類を合理化することだ。
「最初のステップでは、主に既製の商用インフラの標準化を進める。これは通常、ソフトウェア定義型の実装や仮想化によって実現される継続的なプロセスだ。新たなビジネス上のニーズが次々と生まれ、ITインフラに要求を突き付ける。その一方で、これまでのプロセスやワークロードの一部が不要になっていくからだ」(ドーソン氏)
出典:Modernize Your IT Infrastructure in 5 Steps(Smarter with Gartner)
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