東芝と東芝デジタルソリューションズは番組制作を支援する映像認識AIを開発した。ロードレース中の選手を検出、追従し、所属するチーム名もリアルタイムで認識する。追い越しシーンなど、レース中の見どころを自動的に抽出できるため、長時間の人的作業負荷を軽減できる。
東芝と東芝デジタルソリューションズは2018年8月2日、日本テレビ放送網と共同で、番組制作を支援する画像解析AI(人工知能)を開発したと発表した。今回開発したのは、駅伝やマラソンなどのロードレース中継に向けた映像の自動解析技術。
映像中の選手を検出し、追従することに加えて、ユニフォームやゼッケンなどの特徴を捉えて、所属するチーム名もリアルタイムで認識する。98.1%の精度で選手を識別できることを実証したとしている。
今回開発したAIでは、選手の上半身と顔を同時検出し、その両方を利用して追従するようにした。ロードレース中継の映像では走行中に顔が見えないシーンがあるが、上半身と顔を同時検出することで、そのようなときでも高い精度で選手を追従できる。
さらに、ユニフォームやゼッケンなどの特徴を基にチーム名を認識させるため、暗い画像やぼやけた画像などを事前に学習させた。これにより、人が見て認識が困難な映像であっても、チーム名を特定できるという。
選手と観客を区別して抽出するロードレース向けの観客矩形(くけい)フィルタリング技術も開発した。これにより、認識精度を向上させただけでなく、処理時間も削減できた。
今回開発した技術は、映像から特定のチームや選手を自動的に抽出する機能も備える。これまで手作業に頼っていた追い越しシーンなど、レース中の見どころの抽出を自動化できる。
従来、ロードレースの番組制作では、複数台のカメラで撮影した映像から選手を抽出しなければならず、各映像に映っている選手を手作業で記録するなど、多くを人手に頼っていた。今回開発した画像解析AIにより、こうした時間と手間のかかる作業を大幅に軽減できるとしている。
なお今回の画像解析AIは、2018年8月1日に第71回(2017年度)映画テレビ技術協会 技術開発奨励賞を受賞した他、2017年度映像情報メディア学会技術振興賞進歩開発賞や、第24回画像センシングシンポジウム(SSII2018)デモンストレーション賞、第44回放送文化基金賞 個人・グループ部門 放送技術も受賞している。
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