普段、使っているアプリケーションやツールについても、最新バージョンが存在するならバージョンアップしておくことをお勧めします。このようなアプリケーションやツールをインストールしている場合、Windows Updateで更新されることがないので、忘れずに更新しておきましょう。
新バージョンでは重大な脆弱性問題や不具合が修正されているかもしれませんし、パフォーマンスや機能が強化されていることもあります。特に、新バージョンをチェックする機能を備えていないアプリケーションやツールは、見逃されることがあるので注意してください。例えば、「Adobe Acrobat DC」や「Adobe Reader」には、2018年8月にセキュリティ更新が公開されました(アプリケーションからアップデートの有無を確認できます)。
今回筆者は、定期的に使っているのにバージョンアップを気にしていなかったツール「ImageMagick」のバージョンがすごく古いことに気が付きました。ImageMagickは、さまざまな画像形式に対応したフリーの画像変換ツールであり、単体で利用することもできますし、あるいはアプリケーション(Webアプリなど)に画像変換やPDF変換機能を組み込むために利用できます。
筆者は、このツールを利用して画像をPDFに変換するバッチをエクスプローラーの「送る」メニューに登録して、書類(押印した請求書など)のスキャン画像をPDF化するために利用しています(画面3)。以下の古い記事で紹介したものですが、個人的にすごく便利と思うので、ImageMagickの最新バージョンへのバージョンアップとあわせて再び紹介します。
筆者は、確かWindows 7からこのツールをこの使い方で利用しています。上記の記事を書いたときに、Windows 8.1の環境で当時の最新バージョン「6.8.9」に入れ替えましたが、その後、そのまま最新のWindows 10に更新してきました。最新のWindows 10 バージョン1803でも問題なく動いているのですが、少し調べてみると、2016年にImageMagickの脆弱性(CVE-2016-3714)が明らかになっており、現在インストールされているバージョンは影響を受けることが分かりました。そこで今回は、「送る」メニューに登録するという筆者の利用法に関係する範囲で、ImageMagickのWindowsバイナリの最新バージョン「7.0.8」に入れ替えたいと思います。
上記のサイトからWindowsバイナリのインストーラー(64bit版Windows 10を使用している筆者の場合は「ImageMagick-7.0.8-2-Q16-x64-dll.exe」)をダウンロードし、インストールします。さまざまなインストールオプションがありますが、筆者の使用法の場合は全てオフにしました(画面4)。
ImageMagicバージョン7系(2016年6月リリース)は、バージョン6系から大きな変更が幾つかあります。その一つが、筆者が画像変換に利用していたコマンドツール「Convert.exe」が廃止され、新たにコマンドツール「Magick.exe」になったことです。
ImageMagicのバージョン6.xがインストールされている場合は、新バージョンのインストールでアンインストールされることはないようなので、「プログラムのアンインストールまたは変更」からアンインストールしておきましょう。
なお、インストールオプションで以前と互換性のあるレガシーユーティリティーをインストールすることもできますが、その場合、システムのPATH環境変数に登録しないことをお勧めします(「Add application directory to your system path」オプションをオフ)。なぜなら、FATボリュームをNTFSボリュームに変換するWindows標準の「%Windir%\System32\Convert.exe」と同じファイル名であり、PATH環境変数に登録するとImageMagickの「Convert.exe」の方が優先されてしまうからです。
「Convert.exe」から「Magick.exe」にコマンドツールが変更になったので、一応、テストしておきます。筆者の使用法をテストするには、コマンドプロンプトで次のコマンドラインを実行して、PDFファイルが作成されることを確認します(画面5)。
"C:\Program Files\ImageMagick-7.0.8-Q16\magick.exe" <変換対象の画像ファイルのパス> <変換後のPDFファイルのパス>
使用目的の動作が確認できたので「メモ帳」(Notepad.exe)を開いて次の2行を記述し、適当なパスに拡張子「.cmd」のファイル名で保存します(例えば、「C:\MyTools\img2pdf.cmd」)。
@echo off "C:\Program Files\ImageMagick-7.0.8-Q16\magick.exe" %1 %1.pdf
エクスプローラーからバッチファイルを右クリックして「ショートカットの作成」を選択し、バッチファイルのショートカットを作成します。作成したショートカットを適当な名前(例えば、「画像をPDFに変換」)に変更し、適当なアイコンを設定して(例えば、「C:\Program Files\ImageMagick-7.0.8-Q16\magick.exe」のアイコン)します。
最後に、このショートカットを「送る」メニューに登録するために、エクスプローラーのパスのボックスに「Shell:SendTo」と入力し、ユーザープロファイルの「SendTo」フォルダを開き、ショートカットをコピー(または移動)します(画面6)。これで古かったツールのバージョンアップと、筆者の使用法へのバージョンアップの反映は完了です。
筆者のImageMagickのこの使用法は、スキャナーでスキャンした文書をPDFにする必要がある場合に非常に便利なので、バージョンアップの重要性とからめてあらためて紹介しました。
なお、ImageMagickの古いバージョンは自動的にはアンインストールされないようなので、インストールされている場合は「プログラムのアンインストールと変更」からアンインストールしてください。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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