本連載『山市良のうぃんどうず日記』や、筆者のもう一つの連載『その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説』では、さまざまなWindowsの謎の解明やトラブル解決策、あるいは回避策を紹介してきました。
しかし、中には古くなってしまった情報もあります。オンラインの記事は簡単に検索してたどり着けますが、その内容がいつ書かれたものかは判断が難しいこともあります。筆者の記事については、気が付いたときには最新情報を追記していますが、全てに目が行き届いているとは限りません。
そこで筆者の2つの連載から、できるだけ汎用的に使えるものを洗い出し、最新情報を反映しながら、1冊の書籍にまとめました(@ITを運営するアイティメディア株式会社と、日経BP社のご協力により実現しました)。第1章から第6章は筆者が日頃トラブルシューティングに使っているコマンドライン操作やスクリプトを体系的にまとめました。また、「第7章 トラブル事例」では、2つの連載からピックアップした記事を再編集し、新規に書き起こした記事と併せて掲載しました。
この書籍でも指摘していますが、Windows 10 バージョン1803 32bit版では、リリース当初から「システムの復元」と「システムイメージの作成」が正常に機能しないという問題があります。
前者ついては、2018年9月の月例の累積更新プログラムで正常に機能するようになったようです(どの時点で正常化したのかまでは確定できていません)。後者については、2018年9月末までの累積更新プログラムでも修正されておらず、C:ドライブのバックアップ開始直前に「RPCサーバーを利用できません。(0x800706BA)」というエラーで失敗します。
今回のユーザーファイル消失問題は、Windows 10を以前のバージョンにロールバックしても解決しません。バックアップを作成していれば、消失問題の影響を受けたとしても復元できます。そこでこの書籍では、システムの復元が利用できない場合に、更新プログラムやドライバをアンインストールする手順や、システムイメージの作成の代替となるバックアップ手順について解説しています。
ちなみに、Windows 10 バージョン1809の32bit版では、リリース時点(幻のビルド17763.1)でどちらの機能も正常に機能しました(画面4)。
機能更新プログラムのインストールは、Windowsの“新バージョンへのアップグレードインストール”です。アップグレードの前には、システムイメージの作成でフルバックアップしておくことをお勧めしたいところなのですが、Windows 10 バージョン1803の32bit版ではそれができないのです(「ファイルの履歴」という別のバックアップ機能は利用できます)。
この書籍では、以下の連載記事で説明した「WinRE.wim」の肥大化問題について、推奨パーティション構成のパーティションサイズの検討材料として触れています。
実は、この問題はWindows 10 バージョン1803では発生しません(少なくとも幻のビルド17763.1では)。新規インストール時の既定のパーティション構成が、推奨パーティション構成になるように変更されたわけではありません。
単に、Windows 10 バージョン1803のWinRE.wimのファイルサイズがコンパクトになっただけでした。Windows 10 バージョン1803のWinRE.wimのファイルサイズは32bit版で約331MB、64bit版で約442MBです。一方、Windows 10 バージョン1803(7月版)のサイズは32bit版で約437MB、64bit版で約527MBもありました。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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