VMwareは2018年11月12日、AWSの東京リージョンにおけるVMware Cloud on AWSの提供を、同日に開始したと発表した。どのように使われることになるのか。
VMwareがAmazon Web Services(以下、AWS)のデータセンターでVMware vSphereを稼働するVMware Cloud on AWS (以下、VMC on AWS)。同社は2018年11月12日、AWSの東京リージョンにおけるVMC on AWSの提供を、同日に開始したと発表した。
VMC on AWSのAWS東京リージョンでの提供は、米国西部(オレゴン)、米国東部(バージニア北部)、アジアパシフィック(シドニー)、欧州(フランクフルト)、欧州(ロンドン)に続き、世界で6番目となる。
VMwareは2019年末までに、全てのAWSリージョンで提供するとしているが、2019年第2四半期にはAWS大阪ローカルリージョンにおける提供も予定。大阪での提供が始まれば、ディザスタリカバリがやりやすくなる。
既に九州電力、ケイ・オプティコム、ゼンリンデータコム、近鉄情報システム、テプコシステムズをはじめ、10社が試用しているという。
2017年9月に、当初は顧客を限定して開始されたVMC on AWSは、「何のために使うか」が次第にはっきりしてきた。VMwareクラウドプラットフォームビジネス担当上級副社長兼ゼネラルマネージャーのマーク・ローマイヤ―氏によると「データセンター拡張(国際展開を含む)」「ディザスタリカバリ」「クラウド移行(アプリケーション/データセンター単位)」「次世代アプリケーション(既存システムの刷新を含む)」が4大ユースケースだという。
日本でも、同様な用途での利用が期待できるが、クラウド移行となると検証に時間を掛ける顧客が多い。当面は、ディザスタリカバリと仮想デスクトップ(VDI)での利用が重要なユースケースになるだろうと、日本法人代表取締役社長のジョン・ロバートソン氏は話している。
仮想デスクトップはSaaSとして提供されている。日本での需要が大きいことを踏まえ、東京リージョンでの提供開始に合わせて、VMware Cloud on AWS上の VMware Horizon 7でインスタントクローン機能に対応したという。インスタントクローンでは、複数仮想マシンを差分で管理することにより、ストレージ利用量を抑え、仮想デスクトップの配信にかかる時間を短縮できる。
なお、将来に向けては、VMC on AWS上のKubernetesベースのコンテナ運用サービスと、AWSのKubernetesサービス「Amazon Elastic Container Service for Kubernetes(Amazon EKS)」との密接な連携も考えていると、VMwareのプロダクトおよびクラウドサービス担当最高執行責任者であるラグー・ラグラム氏は筆者に話した。
日本での展開では、システムインテグレーターなどが果たす役割が大きいが、日本法人では下記の企業をパートナーとして発表している。AWSプレミアコンサルティングパートナーのうち5社が含まれており、他の3社も関心を示しているという。
VMC on AWSはVMwareが販売し、サポートするクラウドサービス。VMwareはAWSデータセンターの一角とサーバを借りて、VMware vSphere、VMware vSAN、VMware NSXを統合したVMware Cloud Foundationを使い、vSphere環境を自動的に構築・運用する。ネイティブAWSサービスとの連携も特徴で、新しいアプリケーションのAWSでの構築を進めている組織が、既存業務システムを載せるのに都合がいい。
VMC on AWSを試用してきたケイ・オプティコムの技術本部サービスプラットフォームグループシステム基盤チーム、福井希佳氏は、既存システムのクラウド移行を目的として、検証を進めてきたと話した。クラウドごとのスキルセットが必要なく、開発環境を統合しやすい。さらにアプリケーションの可搬性があり、移行においてIPアドレスを変更しなくていい点が、VMC on AWSのメリットだという。
同社では米国西部(オレゴン)のVMC on AWSを日本国内の拠点とつないで使ってきたが、福井氏は相互間のvMotion(ライブマイグレーション)が、仮想マシンを止めることなく行えたことを特に評価している。
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