DX市場は2022年に全世界で2兆ドルへ迫る見通し、IDCが予測長期的な投資先に変わるDX

IDCによると、ビジネスプラクティスや商品、組織のデジタルトランスフォーメーションを実現する技術やサービスへの全世界の支出が、2022年には1兆9700億ドルに達する見通しだ。2017〜2022年の予想年平均成長率は16.7%に達する。

» 2018年11月15日 12時30分 公開
[@IT]

 IDCは2018年11月13日(米国時間)、2022年までの世界のデジタルトランスフォーメーション(DX)市場について予測を発表した。それによると、ビジネスプラクティスや商品、組織のDXを実現する技術やサービスへの全世界の支出合計が、2022年には1兆9700億ドルに達する見通しだ。DX支出は2017〜2022年の期間、堅調に増加し、年平均成長率(CAGR)は16.7%になると予想した。

 IDCのワールドワイドデジタルトランスフォーメーション戦略担当リサーチディレクターを務めるショーン・フィッツジェラルド氏は、次のように解説している。

 「IDCは2020年までに、グローバル2000企業の30%が、収益の少なくとも10%に当たる資本予算を、デジタル戦略の推進に振り向けるようになると予想している。こうした資本投入へのシフトは、重要な動きだ。経営陣がDXを、長期的な投資の対象として認識するようになってきたことを示しているからだ」

 2019年には全世界のDX支出が1兆2500億ドルとなる見通しで、業種別の内訳を見ると、電子機械部品を中心とするディスクリート製造(2200億ドル、全体の17.6%)、化学工業を中心とするプロセス製造(1350億ドル、10.8%)、運輸(1160億ドル、9.3%)、小売り(980億ドル、7.9%)の上位4業種で全体の5割近くを占める見込みだ。

 ディスクリート製造とプロセス製造の両業種では、スマート製造がDX支出の最大のカテゴリーになると予想した。両業種によるスマート製造への支出額合計が、2019年に1670億ドルを超える見通しを示した。デジタルイノベーション(460億ドル)とデジタルサプライチェーン最適化(290億ドル)の両カテゴリーがこれに続く。

 運輸業では、DX支出の最大のカテゴリーはデジタルサプライチェーン最適化で、小売業ではオムニチャネル商取引だ。

 2019年の世界DX支出をユースケース別に見ると、貨物管理(600億ドル)や自律オペレーション(540億ドル)、産業ロボット(460億ドル)、電力、ガス、水向けのインテリジェント予測型供給網管理(450億ドル)といったカテゴリーの支出が大きい。

米国と中国がDXを担う

 2019年の全世界のDX支出を技術カテゴリー別に見ると、ハードウェアとサービスの2つで全体の75%以上を占める。サービス支出の中ではITサービス(1520億ドル)や接続サービス(1470億ドル)の比重が高いが、ビジネスサービスは2017〜2022年の年平均成長率が、各種サービスの中で最も高い29.0%となる見通しだ。

 DX関連のハードウェア支出は、エンタープライズハードウェアやパーソナルデバイス、IaaSインフラなど多くのカテゴリーに分散すると予想した。DX関連のソフトウェア支出は2019年に2880億ドルとなる見通しで、2017〜2022年の予想年平均成長率は、技術カテゴリーの中で最も高い18.8%だ。

 地域別では、米国と中国で2019年の世界DX支出の5割超を占める。米国ではディスクリート製造(630億ドル)や運輸(400億ドル)、専門サービス(370億ドル)といった業種のDX支出が多く、技術カテゴリー別では、ITサービスやアプリケーション、接続サービスの割合が高い。

 中国ではディスクリート製造(600億ドル)やプロセス製造(350億ドル)、公共サービス(270億ドル)といった業種の支出が多く、技術カテゴリー別では、接続サービスとエンタープライズハードウェアの割合が高い。

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