コメントに外国語ががが!――唐揚げにつられて入社したエンジニアを襲った悲劇開発残酷物語(9)(3/3 ページ)

» 2018年12月25日 05時00分 公開
[竹内充彦@IT]
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納品後に要件定義

 「失敗はそもそも、要件をきちんと定義しなかったのが原因です。いざ作り直そうにも、私たちがベビーシッターの世界を知らな過ぎました。例えば、子どもを預けたい親御さんと、シッターさんとがどういう風に面談をするのかさえ知らなかったのです」(東氏)

 そこで、実際にベビーシッターをしている人にヒアリングしようと、協力してくれる人を探し回ったという。本来なら最初にやるべき要件定義を後追いで行っていったのだ。

 「これが最も難易度が高かったですね。つてを手繰ってもベビーシッター経験のある人がいない。Facebookで何人かに声をかけ、ようやく一人から返事をもらいました」(東氏)

 そのベビーシッターさんがとても積極的な人で、要件定義はもちろん、サービス内の各種ドキュメント作成、面談研修などのコンテンツ制作にも協力してくれたという。

 「あぁ、そういう人とは、それこそきちんと契約を交わして、今後も頼れるようにしておいた方がいいですね」(山本)

 さまざまな環境が整い、ようやくβ版ながらサービスインした「ママココ」。まだ、試験的な利用の段階だが、その後も各部のブラッシュアップを続けており、本サービスの開始も、そう遠くはないようだ。

 「紆余(うよ)曲折はありましたけれど、ゼロからスタートして2年でサービスが形になったというのはスゴいですよね」(山本氏)

 「そうですね。最初の段階で一度コケて良かったと思っています。今は発注する立場から、お客さまのシステムを受注する立場に変わりましたが、苦労した分、お客さまから受注する際は、要件定義からしっかりと行うようになりました」(東氏)

 本サービススタート後のマネタイズなど、自社サービス運営を軌道に乗せるためには、これからも幾つものハードルがある。しかし、CLOCK・ONグループには、広告関連のノウハウが多数蓄積されているため、その点は既に何か考えがありそうだ。

 これまでの流れを振り返って、飯沼氏が総括してくれた。

 「今思えば、これってシステム開発会社としては、一番ダメなパターンでしたね。いい勉強をさせてもらった授業料だと思います」(飯沼氏)

 「すてきなお話ですね。ありがとうございました」(山本氏)

山本一郎氏が指南する、システム開発を発注/受注する際のポイント

  1. 完成後のイメージを双方きちんとすり合わせる
  2. 必要な仕様についての工数をなるべく確実に予想する
  3. 何のためのシステムかを、くどいほどに確認し続ける
  4. イメージとテーマに沿って、実装する優先順位を決める
  5. システム担当者と現場とでイメージに食い違いがないようにする
  6. 仕様が変われば工数も増え、追加発注となることを双方理解する

次回も、山本一郎氏が「炎上」事例を斬る!

 次回以降も山本一郎氏が、開発会社の炎上事例をぶった切ります。お楽しみに。

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