平成最後の年末は、2018年の振り返りと2019年の展望で締めたいと思います。2017年末は筆者の別連載『うぃんどうず日記』でこのタイトル記事を書きましたが、今回はタイミング的にこちらで。
2018年も「Windows Update」に振り回された1年だったような気がします。思い返してみると、2015年7月末にWindows 10が初登場してから、ずっとその状況が続いています。
2018年10月の「Windows 10 October 2018 Update(バージョン1809)」リリースと配布の一時停止、そして11月中旬の配布再開は、Windows UpdateやWindows 10の品質、Windows as a Service(WaaS:サービスとしてのWindows)の課題を浮き彫りにさせる事件でした。
Windows 10 October 2018 Updateのごたごたは、年に2回の「機能更新プログラム(アップグレード)」の話ですが、毎月、それも1回だけとは限らない「品質更新プログラム」についても、バグの修正がまた別のバグを生むといった状況が実際に繰り返されています。
Windows 10ユーザーの多くがこの1年に体験したトラブルのほとんどは、Windows Updateによる更新そのものか、更新をきっかけにしたものだったのではないでしょうか。
さて今回は、2018年を締めくくる意味で、2018年にサポートが終了した製品と、2019年にサポートが終了する製品についてまとめます。
2018年にサポートが終了したMicrosoft製品について、幾つか振り返ってみます。主な製品は以下の通りです。
2015年7月末にWindows 10が登場して以降、Windows 10には年に複数回(現在は2回)のサイクルで新バージョンがリリースされます。一方で、古いバージョンのWindows 10のサポートが終了するという状況が毎年繰り返されることになります。
「Windows 10 バージョン1511(November Update)」は2017年10月10日にサポートが終了しましたが、EnterpriseとEducationエディションに限り6カ月間の延長が提供されて、2018年4月9日、完全にサポートが終了しました。
その後、「Windows 10 バージョン1607(Anniversary Update)」以降に関しては、EnterpriseとEducationエディションに対するサポートは“さらに6カ月延長”されることになりました(合計30カ月の延長)。それ以外のエディションに対する標準の18カ月サポートは、Windows 10 バージョン1607とバージョン1703(Creators Update)で2018年中に終了しました。
2018年7月31日の「Enhanced Mitigation Experience Toolkit(EMET)」のサポート終了については、筆者の別連載『山市良のうぃんどうず日記:第133回』をご覧ください。なお、サポートが終了してしばらく経過していますが、EMETのダウンロード提供はまだ停止になっていません。
2018年10月9日にサポートが終了した「Microsoft Enterprise Desktop Virtualization(MED-V)1.0/1.0 SP1」は、Windows Virtual PCを利用したWindows XP完全互換のレガシーなアプリケーション実行環境を提供する企業向けソリューションです。Windows 7に搭載されていた「Windows XP Mode」の企業版のようなものです。
Windows 7のWindows Virtual PCに対応したMED-V 2.0は2021年4月13日までサポートが継続されますが、MED-V 2.0ホストのシステム要件であるWindows 7のサポートは2020年1月14日で終了します。また、MED-V 2.0ワークスペース(ゲスト)のシステム要件であるWindows XPのサポートは随分前に(2014年4月9日)に終了しているので、事実上、役目を終えています。Windows XP ModeやMED-V 2.0を現在でも利用している場合は、その点を理解し、セキュリティリスクがあることを知った上でお使いください。
2018年10月9日には、Windows Server 2016 StandardおよびDatacenterの「Nano Server」インストールオプションのサポートが終了しました。当初は2018年4月9日に終了する予定でしたが、何のアナウンスもないまま、6カ月延長されての終了です。
Windows Server 2016の登場時、極限までコンポーネントを削ったNano Serverは、コンパクトで起動が早く、攻撃にさらされる面が少なく、更新プログラムの機会も減少するという触れ込みで登場しました。
しかし、“更新プログラムの機会減少”という点については、現実は全く違いました。更新プログラムはWindows Server 2016と共通であり、サイズが大きく、ダウンロードとインストールに時間がかかりました。更新されたコンポーネントは少ないのかもしれませんが、インストールに必要な時間と再起動の数は、Windows Server 2016の通常のインストールとほとんど変わりませんでした。
その後、Nano Serverはその位置付けが変更され、「Windowsコンテナー」のベースOSイメージとしてのみ、Windows Serverの半期チャネルで提供されるようになりました。物理マシンや仮想マシンにインストールできるNano Serverは、Windows Server 2016のバージョンが最初で最後ということになりました。
2018年11月時点において、仮想マシンにインストールしたNano ServerでWindows Updateを実行したところ、11月の累積更新プログラムは検出されませんでした。最新で最後になったビルド番号は、10月18日の累積更新プログラムの14393.2580でした(画面1)。
コンテナのベースOSイメージ(microsoft/nanoserver:sac2016またはlatest)は10月9日のビルド14393.2551が最後のバージョンになりました(画面2)。さようなら、Nano Server!
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