ITエンジニアの6割が転職を希望、理由は給与の低さ：転職希望は他業界の2倍

SHIFTが公開した「IT業界に勤める方の実態調査レポート」によると、ITエンジニアの多くが現在の職場環境や業務内容に満足していないことが分かった。最も多い理由が給与の低さだ。転職先の条件として「給与面において家族も賛成してくれるような会社」を挙げた割合が最も多かった。

[＠IT]

　SHIFTは2019年1月11日、「IT業界に勤める方の実態調査レポート」を公開した。年々深刻度を増しているITエンジニア不足の原因は、ITエンジニアの経験やスキルの不足に加えて、過酷な職場環境や労働条件などによる業種としての魅力低下があると、同社は考えている。

　今回の調査はそうした問題の根本的な解決に向けて、IT業界で働く開発プロジェクト経験者を対象に、転職やキャリアチェンジに関する意向を調査したもの。

　調査結果によると、現在の職場環境や業務内容について満足しているITエンジニアは29.7％だったのに対して、どちらかというと満足していないは24.6％、全く満足していないは10.7％だった。

現状に満足しているITエンジニアは3割未満（出典：SHIFT）

　現在勤めている会社の勤務年数別では、不満度が最も高いのは勤続3年目。調査対象となったITエンジニアのうち転職経験者は56.2％で、業界勤務年数が長くなるほど不満度が高い傾向にある。年収別では、年収600万円以下の約4割が満足していなかった。

年収と満足度の関係（出典：SHIFT）

年収以外にも不満がある

　現状に満足していない理由として最も多かったのは「仕事上の評価が正当でないと感じるから（給料が安い）」で、60.4％を占めた。

　その他、回答が多かった理由には、「将来目指すべき自分のキャリアがイメージできないから」（33.0％）や、「労働時間が長すぎるから」（23.6％）、「同じ作業の繰り返しで、これ以上成長が望めないから」（23.6％）が挙がった（複数回答）。

現状に満足していない理由（出典：SHIFT）

いつ転職したいのか

　一方、転職やキャリアチェンジについて、「今すぐにでも」と回答した割合は15.7％、「すぐにではないが、いつかはしたい」が42.6％で、6割近くが転職やキャリアチェンジの意向を持っていた。

　2017年1月に第一生命経済研究所がIT業界にかかわらず他業種を含めて実施した調査では、「キャリアアップのために転職したい」と回答した割合は20〜60代の平均で約3割だったのと比べると、ITエンジニアのキャリアチェンジに対する意向は高い傾向にある。

転職したい会社の属性（出典：SHIFT）

　転職先の条件として回答が多かったのは、「給与面において家族も賛成してくれるような会社」（46.9％）や、「福利厚生面において家族も安心してくれるような環境の整っている会社」（40.7％）、「新たな仕事にチャレンジできる会社」（36.0％）だった。

　調査期間は2018年12月13〜15日、調査方法はインターネット調査、調査対象者はIT業界に勤める開発プロジェクト経験者。対象人数は516人（男性423人、女性93人）。20〜50代の各世代が均等に129人となるよう調査した。