米国ミズーリ大学工学部などの研究チームが、データ窃盗(APT)やリソース窃盗(APM)といった標的型攻撃に対抗する新手法を考案した。APTへの対応とAPMへの対応はほぼ正反対になっている。
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米国ミズーリ大学工学部などの研究チームが、標的型サイバー攻撃からデータやリソースを保護する新手法「defense using pretense」を考案した。攻撃者のリソースをシステムの隔離領域に誘導し、防御策を強化する時間を稼いだり、攻撃者にリソースを悪用されにくくしたりするというものだ。
ミズーリ大学工学部の電気工学コンピュータサイエンスの准教授で、サイバー教育研究イニシアチブ(CERI)のディレクターを務めるプラサド・カリヤム氏を中心とした研究チームが新手法を考案した。
データ窃盗のための「APT」(Advanced Persistent Threat)と、リソース窃盗のための「APM」(Advanced Persistent Mining)という2つの主要なタイプの攻撃への対策として、機械学習などの人工知能(AI)技術と心理学の原理を利用した。
APTは、データの可用性や完全性、機密性を損なう攻撃だ。APMはクリプトジャッキング攻撃とも呼ばれる攻撃だ。ビットコインのマイニングなど、多大なコストがかかる作業のために、標的システムのリソースを不正に利用するというものだ。
研究チームが考案したAPT対策の新手法では、攻撃を検知すると、攻撃者にダミーの標的を与え、攻撃者のリソースをシステムの隔離領域に誘導し、攻撃が成功していると思い込ませる。そうすることで、価値あるデータやリソースの防御策を強化する時間を稼ぎ、これらの資産を狙った激しい攻撃を回避することが可能になる。
一方、APMでは通常、攻撃者は複数システムのノードを攻撃し、クリプトジャッキングのためのリソースプールを構築する。APM対策の新手法では、攻撃されているノードに人工的なトラフィックや負荷を追加する。これにより、攻撃を察知していることを攻撃者には気付かれずに、それらのノードをリソースとして使いにくくする。このようにして、攻撃者がそれらのノードをクリプトジャッキングプールから除外するように仕向ける狙いだ。
研究チームが新手法についてまとめた論文は先ごろ、「Future Generation Computer Systems」誌で発表された。
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