開発者向けQ&Aサイト「Stack Overflow」は、開発者に対する「世界で最も大規模かつ包括的な」年次調査結果を発表した。最も愛されている言語はRust、次いでPythonとTypeScript。最も高給取りだったのはサイト信頼性エンジニアとDevOpsの専門家だった。開発職に希望を感じている国は西欧諸国ではなく、中国や東欧諸国だった。
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Stack Exchangeが運営する開発者向けのQ&Aサイト「Stack Overflow」は2019年4月9日(米国時間)、2019年の年次開発者調査の結果「Developer Survey Results 2019」を発表した。回答者は約9万人、平均回答時間は20分程度。2019年は調査結果の公開を開始して9年目に当たる。
Stack Overflowは米国からのアクセスを筆頭に毎月5000万人の閲覧者を集める専門サイト。閲覧者が開発に関する学習、共有、キャリア育成に役立てているという。
今回の調査は、「コーディングを行っている人々に対する世界で最も大規模かつ包括的な調査」をうたっている。開発者のお気に入りの技術やツール、仕事の志向、学習方法、給与、働き方など、質問は多岐にわたる。
調査結果のハイライトは次の通り。
主要なプログラミング言語の中で最も急速に利用が拡大しているPythonは、2019年調査でもさまざまな項目で順位を上げており、最も愛されている言語のランキングではMozillaが支援する「Rust」に次いで2位を占めた
最も一般的な言語では、7年連続でJavaScriptが一位であり、HTML/CSS、SQL、Python、Javaが続いた。
最も稼げる言語は、Clojure(年間給与9万ドル)を筆頭に、F#、Go、Scala、Elixirとなった。
経験年数と給与の関係を業務(開発対象)ごとに調べたところ、サイト信頼性エンジニア(SRE)とDevOpsの専門家は、回答者の中で最も給与が高かった。さらに「仕事でのコーディング経験年数が最も長い」「仕事の満足度が最も高い」「求職者の割合が最も低い」という3つのグループにも入っている。
逆に学術研究者やモバイル開発者は経験年数が短く、給与も低かった。
何が生産性の障害となっているかについては、開発者の属性によって回答が異なった。男性は、開発以外の仕事を指示されることを問題視する傾向が高く、性的少数者は、仕事中毒的な環境を挙げる割合が高かった。
回答者の過半数は、16歳になる前に初めてコードを書いていた。ただし、コーディング経験は、国や性別によってさまざまに異なる。
「今日生まれた人は、親より良い生活を送る」と考える、将来に楽観的な開発者の割合は全世界で63.7%だった。ある程度回答者が多い国の中では、中国が81.3%と最も楽観的で、ウクライナ(80.9%)とロシア(79.4%)が続いた。米国(61.1%)は中間的な水準の回答であり、フランス(40.8%)やドイツ(56.2%)のような西欧諸国は、楽観的に考える開発者の割合が最も低い部類に入る。
今回の調査の質問項目には、回答者に、「Stack Overflowを使って/使わずに、コーディング上の問題を最後に解決したのはいつか」を考えてもらう質問が含まれていた。その結果によれば、開発者がStack Overflowによって、1週間当たり30〜90分の時間を節約していることを示しているという。
Stack Overflowは、回答者の人数と属性の多様さから、今回、有益な結果が得られたものの、回答者の属性には偏りも含まれていたと認識している。そのために調査結果の中で適宜、偏りが影響した結果について特記したり、国別や性別に結果を要約したり、偏りを是正するために重み付けした結果を示したりしている。
数週間後には調査結果を匿名化したデータのダウンロード配布を開始する予定だ。
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