IT分野の「非正規社員」採用意欲高める日本企業、ヘイズ・ジャパンが調査なぜ数日で採用に至らないのか

ヘイズ・ジャパンの業界動向レポート「インサイドストーリー」によると、日本企業はIT分野の非正規社員採用について意欲的だ。正社員の採用では必要なスキルを持つ人材を確保できないことに気付き始めているためだが、採用決定に長い期間を必要としており、効率が低い。

» 2019年05月14日 10時30分 公開
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 ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンは2019年5月9日、業界動向レポート「インサイドストーリー」のIT非正規市場編を公開した。同レポートでは、IT分野の非正規社員採用について日本企業の意欲は高まっているものの、採用決定に長い期間を必要とする傾向が強く、効率が低いとしている。

 同レポートは、IT分野の非正規社員の採用動向について、次の6つの特徴があるとしている。

 1つ目は、IT分野に限らず日本国内で非正規社員として働くことについて、ネガティブなイメージがあること。派遣契約による低賃金の事務職や、接客業、コールセンターのスタッフでは享受できる権利が限られ、立場を軽んじられることがあるとしている。

 2つ目は、トップクラスの高い技術を備えた人材がキャリアパスとして非正規での就業を選択し、正社員では充足できないスキル不足に対応する傾向が強くなっていること。これはIT分野の非正規就業で特に鮮明だという。

正社員では必要なスキルがそろわない

 3つ目は、IT分野では非正規社員で充足しなければならないポジションが多岐にわたり、企業は非正規社員の雇用維持に努めていること。同レポートによると、企業は正社員の採用では必要なスキルを持つ人材を確保できないことに気付き始めているという。

 4つ目は、一般に日本企業の人事異動が部門をまたがって行われ、こうした企業文化が人材不足を招く一因となっていること。

 5つ目は、国内のIT人材が不足しており、多く企業が海外からの人材獲得を一段と積極的に検討し始めていること。

 6つ目は、企業が、海外在住経験のある日本人の採用に積極的な姿勢を見せていること。こうした人材は、国際的な経験を持つだけでなく、日本の文化や言語に対する造詣が深く、バランスが取れた人材と見られる傾向があるためだという。

 ヘイズ・ジャパンのリージョナルディレクターを務めるマイケル・クレイヴェン氏は次のように述べている。

 「欧米では非正規市場が成熟しており、非正規社員の採用は数日で決定に至る。一方、日本でこうした採用を成約させるまでには非常に長い期間が必要となり、プロジェクトの質に大きく影響が出ることがある。これはとりわけIT関連プロジェクトで顕著だ」

 「日本の企業文化には官僚的で煩雑な性向があり、緊急プロジェクトに必要なハイスキルIT非正規社員の確保に著しい障害となっている。採用担当者は、面接時の経歴評価に当たり非正規社員にも正社員同様に長い時間をかけることがある。ITを取り巻く環境は常に進化を遂げている。意思決定の前に新しい技術が出現する可能性もあり、非正規職に求める技術を改めて見直す必要が生じることもある。このため企業側は非正規社員の採用プロセスを迅速化する必要がある。非正規採用の本質は即戦力であり、特にIT分野では、変化に対応しなければ企業は競争に遅れるリスクにさらされる」

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