東京都市大学知識工学部の教授を務める塩本公平氏らは、人の移動パターンから移動先を約70%の確率で予測できるアルゴリズムを開発した。モバイル基地局の効率的な配置や都市部での交通網整備、避難計画の策定に応用できる。
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東京都市大学知識工学部知能情報工学科の教授を務める塩本公平氏ら研究チームは2019年5月31日、人の移動先を約70%の確率で予測できるアルゴリズムを開発したと発表した。
Microsoft Research Asiaが無料で公開する中国北京の1万7621件(182人分、総行程120万キロ、総時間4万8000時間)のGPSデータを基に、人の移動パターンをデータベース化。これを分析することで開発したという。研究チームは、同アルゴリズムによってモバイル基地局を効率的に配置すれば、省エネルギーで利便性に優れた通信環境を構築できるとしている。さらに、同アルゴリズムは、都市部での交通網整備や避難計画の策定にも応用できるという。
モバイル通信では、効率的に基地局を配置するため、各エリアのモバイル端末数を予測する必要がある。これまではベテランの技術者が経験によって予測してきた。現在はGPS機能を備えたスマートフォンが普及しており、人の移動データを取得できる。そこで東京都市大学の研究チームは、こうした移動データから各エリアのモバイル端末数を予測することを目標とした。
同研究チームは、人の移動に類似性があることに着目した。そこで、GPS機能付きスマートフォンから得た移動データを「系列パターンマイニング」と呼ばれる手法で分析し、移動パターンを抽出した。大都市のように移動データが多量に得られるエリアであれば、移動パターンの特徴から移動先を予測できるとしている。
今後は、中国だけでなく日本国内の大都市圏でのデータも分析するという。予測精度の向上を目指しつつ、使用が容易なソフトウェアの開発にも取り組む予定だ。
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