「ニーズはあるのにAI採用が日本で進まない理由」 ジェネシスが調査結果を発表日本の職場でのAI採用率は6カ国中最低

ジェネシスは、職場でのAIに関する調査結果を発表した。日本のAI採用率は調査対象国の中で最低。だが、日本の労働者は他国よりもAIが労働時間の節約や効率化に寄与すると考える割合が高かった。

» 2019年08月27日 08時00分 公開
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 ジェネシスは2019年8月26日、職場でのAI(人工知能)に関する調査結果を発表した。対象は、日本、米国、英国、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドの企業に勤める4207人の従業員。それによると、日本のAI採用率は調査対象国の中で最低だった。日本の労働者は他国よりもAIが労働時間の節約や効率化に寄与すると考える割合が高い半面、AIを脅威と感じる人が多い傾向にあった。

脅威を感じているが、10年は大丈夫と考える

 まず、職場での技術的な脅威について尋ねたところ、脅かされていると回答した割合は、日本が最も高く約50%だった。そのうち、「常に脅かされる」は12%、「時々脅かされる」は38%だった。対象を日本の18〜38歳に絞ると、それぞれ18%と42%で、若年層ほど脅かされていると感じていることが分かった。

 ただし、10年後にAIやbotに取り換えられる恐れがあると回答した割合は19%にすぎず、ジェネシスは、ここ数年速やかに変化してきた仕事環境、企業カルチャー、急速なソリューションの導入といった要因が短期的な脅威に影響していると分析している。

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メリットを感じているが、AIの採用が進まない理由

 次に、職場での新技術の利点を調べたところ、「技術が時間の節約や効率向上を促す」と回答した割合は、日本は76%だった。職種をメディアや製造業、教育に絞ると、その割合は約9割に達した。

 さらに「AIやbotの利用なしでは自社の競争力を失う」と回答した割合は、日本は33%で、他国を大きく上回った。ジェネシスはこの結果を受けて、日本は人口減少や効率向上を課題とした働き方改革が急務になっており、AIの必要性を世界で最も感じているとしている。

 最後に、AIの採用率について聞いた。「職場でAIやbotを活用している」と回答した割合は、日本は調査対象国中で最低の13%。さらに、日本の回答者の48%は「AIを活用した環境で働けるスキルを持っていない」と回答した。AIの採用率を上げるのに伴い、企業は社員の教育プログラムを導入する必要性があることが分かった。ただし、「AIのスキルを自ら身に付けるべき」と回答した割合は、日本が30%。これは他国よりも高かった。この点についてジェネシスは、日本の社員の多くがAIのニーズと立ち向かう姿勢を持っているとしており、今後日本でのAIの採用率が向上していくと予測している。

 ジェネシス・ジャパンの代表取締役社長を務める細井洋一氏は、「今回の調査から、AIが日本の企業にとって競争力を高めるために重要な技術だということが改めて確認できた。AIのポテンシャルを最大限に生かすために、日本の企業はAIと社員を隔離せず、統合的なアプローチ(ブレンデッドアプローチ)を取り、新しい働き方を模索することが重要だ。ブレンデッドAIは今後、技術への投資とワークフォースの満足とスキルを最も有意義に活用できる手段になるだろう」と述べている。

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