Windows 7カウントダウン、第3シーズン山市良のうぃんどうず日記(161)

「2020年1月14日」のWindows 7のサポート終了まで、残すところ4カ月。友人や家族にWindows 7のPCを使ってネットを利用している人を見かけたら、おせっかいかもしれませんが、注意喚起のために優しく一声掛けてあげましょう。

» 2019年09月11日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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山市良のうぃんどうず日記

Windows 7ユーザーへのEOS通知が第3シーズンに突入

 「2020年1月14日」は「Windows 7」の全てのサポートが終了する日(End Of Support:EOS)です。その日(日本では翌15日)にリリースされる「セキュリティ更新プログラム」が最後の更新プログラムになる予定です。

 全てのサポートが終了すると、その後、重大なセキュリティ問題が発覚しても、修正プログラムが提供されることはなく、日がたつにつれて脆弱(ぜいじゃく)性が累積され、セキュリティ侵害リスクが高くなっていきます。ここまでは「Windows XP」や「Windows Vista」のサポート終了時にも繰り返された、決まり文句です。Windows 7についてもしばらく前(1年前、半年前など)から繰り返し見たり聞いたりしていることでしょう。

 Windows XPのサポート終了前後は、テレビ画面でWindows XPのスクリーンセーバーやデスクトップをよく見かけました。例えば、マスコミ社内のPCや記者のPC、インタビューを受ける医師や学者の背後にあるデスクトップPCなどです。最近ではWindows 7のPCが目に付くようになりました(Windows 10も見かけるようになりましたが)。Windows 7の利用者は、かなりの数が残っているものと想像しています。

 筆者は2019年8月末〜11月初めまでを「Windows 7カウントダウン、第3シーズン」と独自に呼んでいます。その理由は、この後すぐに説明するとして、今回はWindows 7とその仲間たちのサポート終了に向けた最新情報をまとめてみました。

 「Windows 7カウントダウン、第3シーズン」とは、Windows 7 HomeやUltimateなど、コンシューマー製品に2019年3月に「KB4493132」(https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4493132)として配布された通知プログラム(Sipnotify)の通知が、3番目のものになったからです(画面1)。

画面1 画面1 筆者のWindows 7 Ultimateを実行するPCに、2019年9月初めに表示された通知メッセージ。「今後、このメッセージを表示しない」をチェックすれば通知は無効になるが、チェックせずに最後の通知まで見る予定

 この通知画面を目にするのは、Windows 7を家庭で利用している個人ユーザーに限られるでしょう。「KB4493132」は、企業向けのWindows 7 ProfessionalやEnterpriseには提供されていません。また、Windows 7 Ultimateでも、Active Directoryドメインに参加しているPCには提供されないようです。

 「KB4493132」でインストールされる通知プログラムに関連するファイル(%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\SipNotify\eoscontent\metadata.json)には、次のような日付範囲が定義されています。これが筆者が「第3シーズン」と呼ぶ理由です。

"DateRanges":[
    "4/18/2019-6/13/2019",
    "6/13/2019-8/29/2019",
    "8/29/2019-11/7/2019",
    "11/7/2019-12/5/2019",
    "12/5/2019-1/15/2020"
],

 ちなみに、4月中旬に用意されていた通知は画面2(これが実際に表示されることはありませんでした)、6月中旬に表示された通知は画面3です。今後、11月初めと12月初め、つまり最後の2カ月は1カ月ごとに新たな通知メッセージが表示される予定です。おそらく、サポート終了後も。最後に何らかの通知メッセージが表示されるのでしょう。次はどんなメッセージになるのか、最後はどう締めくくるのか、個人的に楽しみにしています。

画面2 画面2 幻の第1シーズン向けの通知メッセージ。実際に表示されることはなかったが、通知プログラム(Sipnotify)のデバッグ用オプションを利用することで、強制的に表示させることができた
画面3 画面3 6月半ばに表示された第2シーズンの通知メッセージ。モダンなデザインに変更された

Windows 7とMicrosoft Office

 Windows 7と「Microsoft Office」の組み合わせで最も多いのは、おそらく「Office 2010」だと思います。Office 2010のサポートは「2020年10月13日」に終了するため、Windows 7のサポート終了後もOffice 2010の更新プログラムの提供を受けることはできます。

 ただし、他のMicrosoft製品と同様、サポートされていないOSとサポートされているソフトウェア製品/サービスとの組み合わせは、問題が発生したとしても、その問題は「サポート対象外」とされることに注意してください。

 その他のバージョンのOfficeや、「Office 365」とサポート終了後のWindows 7との組み合わせについては、以下のドキュメントで説明されています。例えば、Office 365の場合、Windows 7のサポート終了後は、新しい機能更新プログラム(新しいバージョンYYMM)は受け取れなくなり、「Officeセキュリティ更新プログラム」(同じバージョンYYMMに対する更新プログラム)は2023年1月まで引き続き提供されるそうです。2023年1月というEOSの3年後の日付は、おそらく後述する「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」のことを想定しているのかもしれません。関係するかどうか分かりませんが、2023年1月は「Windows 8.1」のEOSでもあります。

Windows 7とSecurity Essentials

 「Windows Defender」がウイルス対策ソフトウェアとして標準搭載されるようになったWindows 8以降とは異なり、Windows 7はウイルス対策ソフトウェアを搭載していません(Windows 7標準搭載のWindows Defenderはスパイウェア対策のみ)。Microsoftは家庭での個人利用と、小規模企業(最大10台まで、政府機関または教育機関のPCでは利用不可)向けに「Microsoft Security Essentials」を無料提供しています。

 Microsoft Security Essentialsは、Windows XPやWindows Vistaでも利用できました。ただし、サポート終了後には、サポート終了OSに対するダウンロード提供は停止されました。また、Windows XPとWindows Vistaでは、OSのサポート終了が近づいていることを1カ月前から通知することに利用され、サポート終了後は警告の通知に切り替わり、数カ月の猶予期間後にサービスを完全に停止しました。

 Windows Vistaのときには、猶予期限が設けられることなく、Windows Vistaのサポート終了と同時にMicrosoft Security Essentialsのサービスも停止しました。定義ファイルの提供がなくなるという話ではありません。ウイルス対策エンジンが機能を停止したのです(つまり、定義ファイルを更新できても、できなくても関係ありません)。

 Microsoft Security Essentialsとは挙動は異なりますが(1カ月前からの通知がないところなど)、企業向けの「Forefront Client Security」や「Forefront Endpoint Protection」「System Center Endpoint Protection」にも同じようなサポート終了OSに対する仕組みが組み込まれており(Forefront製品は既にサポート終了)、以下の公式ブログで説明されています。

 Windows 7についてどのような扱いになるのか、Windows XPのときに決められた上記方針に従うのか、具体的なことは明らかにされていませんし、現時点では通知の開始やサービスの停止について、Windows 7向けの特別な対応はMicrosoft Security Essentialsに対して行われていません。

 今後、あるとしたら、マルウェア対策クライアントの新しいバージョンで組み込まれることになるでしょう(Windows XPやWindows Vistaのときはそうでした)。現在のバージョン「4.10.209.0」は2017年1月にリリースされたものです。サポート終了OSに対する仕組みは、Windows XPのときに組み込み済みであり、上記公式ブログで説明されている特定のレジストリが作成されれば(SYSTEM権限が必要なため、通常、ユーザーがこれを行うことはできません)、Windows 7でもサポート終了の挙動をするようになっています(画面4)。

画面4 画面4 Microsoft Security Essentialsのサポート終了OSに対する仕組みは、Windows XPのときに既に組み込み済み

 一定の猶予期間が設けられるのか否か、現時点では不明です。後述する「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」対応のために、3年間は猶予されるのではないかと期待する人もいるでしょう。

 しかし、サポート終了OSに対して、期待してはいけません。サポート終了と同時にMicrosoft Security Essentialsも利用できなくなることを想定しておくべきです。Windows Vistaのときは猶予期間があるように説明しておいて(https://support.microsoft.com/en-us/help/22882/でそのように説明されています)、実際には猶予期間は「0日」でした。

Security Essentialsは提供終了へ、定義ファイルの提供はいつまで続く?

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