Windows 10 バージョン1903になっても「更新プログラムのチェック」は上級者向けボタンだった山市良のうぃんどうず日記(160)

Windows 10 May 2019 Update(バージョン1903)から、オプションの更新プログラムに対して「今すぐダウンロードしてインストールする」オプションが提供されるようになりました。 しかし、.NET Frameworkの累積更新プログラムは少し扱いが異なるようです。何とか頑張って検証、説明しますが、かなりややこしいことになっています。

» 2019年08月28日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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Windows 10 バージョン1703からのWindows Updateの仕様の再確認

 Windows 10 Creators Update(バージョン1703)から「品質更新プログラム」のリリースサイクルが明確化され、「セキュリティ更新プログラム」(新たなセキュリティ問題の修正が追加された累積更新プログラム)は毎月第2火曜日(時差の関係で日本では翌水曜日)にリリースされ、その翌週または翌々週に「更新プログラムのプレビュー」(翌月の第2火曜日に向けたプレビュー)が“オプションの累積更新プログラム”としてリリースされるようになりました。

 第2火曜日の更新プログラムは「Bリリース」、その翌週の更新プログラムは「Cリリース」、その翌週の更新プログラムは「Dリリース」とも呼ばれています。そして、Dリリースは翌月初めにずれ込む場合もあります。

 Windows 10の更新を「Windows Update」の自動更新に任せている場合、Bリリースのみが自動的に検出され、インストールされることになります。Windows Updateで「更新プログラムのチェック」ボタンをクリックすると、B、C、Dリリースに関係なく、利用可能な更新プログラムが検出され、インストールされます。

 ただし、Windows Updateの「詳細オプション」の「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」で、機能更新プログラム/品質更新プログラムの延期設定を行っている場合、または「Windows Update for Business(WUfB)」のポリシー設定で同様の延期設定を行っている場合は、WUfBクライアントと見なされ、オプションの更新プログラムが自動更新や手動更新で検出されることもありません。

 この方針は、Windows 8.1以前向けのWindowsの累積更新プログラムと、.NET Frameworkの累積プログラムにも適用されます。Windows 8.1以前では、Bリリースの更新プログラムが「セキュリティマンスリー品質ロールアップ」(Windows向け)および「セキュリティおよび品質ロールアップ」(.NET Framework向け)、C/Dリリースの更新プログラムが「マンスリー品質ロールアップのプレビュー」(Windows向け)および「品質ロールアップのプレビュー」(.NET Framework向け)という名前で配布され、品質ロールアップのプレビューについてはWindows Updateで明示的に選択しない限りインストールされることもないため、分かりやすくかつ更新管理も簡単でした。

 一方、Windows 10はB、C、Dリリースに関係なく「累積更新プログラム」という名前で配布されるため、Windows Updateで「更新プログラムのチェック」ボタンをクリックすると、タイミングによっては意図せずオプションの更新プログラムが検出され、インストールが始まってしまうことがあります。

 また、Windows 10の機能更新プログラムが利用可能になったタイミングと重なると、意図せず、機能更新プログラムのインストールが始まってしまうこともありました(後述するように、Windows 10 バージョン1809からはこの点が改善されています)。

Windows 10 バージョン1809からの新機能「今すぐダウンロードしてインストールする」

 セキュリティを最新状態に維持したいという場合は、Bリリースの更新プログラムだけを毎月インストールすればよいわけです。しかし、Windows 10はそれをユーザーが制御できる範囲が少なく、意図しないタイミングで、今すぐ必要ではないオプションの更新プログラムや機能更新プログラムのインストールが始まってしまうことになるのです。そのため、最近では「更新プログラムのチェック」ボタンをクリックする人は、「Advanced User(上級者)」や「Seeker(探究者、探し求める人)」と呼ばれるようになりました。

 「更新プログラムのチェック」ボタンをクリックすることのリスクに対し、ユーザーからの苦情(フィードバック)が多かったのでしょう、Windows 10 May 2019 Update(バージョン1903)からはオプションの更新プログラムが利用可能な場合、インストールを開始するのではなく、ユーザーに通知する「今すぐダウンロードしてインストールする」機能が追加されました。

 これで「更新プログラムのチェック」ボタンをクリックしても、“Windowsの”オプションの累積更新プログラムや機能更新プログラムのインストールが、意図しないタイミングで始まってしまうことはなくなりました(画面1)。

画面1 画面1 Windows 10 バージョン1903からは、オプションの累積更新プログラムや機能更新プログラムが利用可能な場合、それが通知され、「今すぐダウンロードしてインストールする」をクリックしないとダウンロードとインストールが始まらないように改善された

 機能更新プログラムに対する「今すぐダウンロードしてインストールする」は、Windows 10 バージョン1809のビルド17763.529以降にも追加されており、Windows 10 バージョン1903のインストールが勝手に始まってしまうことはなくなりました(画面2)。ただし、WUfBで機能更新プログラムの延期設定している場合は、設定に従ってダウンロードとインストールが自動的に始まる可能性があることに注意してください。

画面2 画面2 Windows 10 バージョン1809(ビルド17763.529以降)には、機能更新プログラムについて「今すぐダウンロードしてインストールする」オプションが追加されている。通常の累積更新プログラムはこれまで通り、「更新プログラムのチェック」ボタンのクリックでインストールされる

Windows Updateのこれまでのルールに従わない.NETの更新

 しかし、Windows 10 バージョン1809(およびWindows Server 2019)以降、この規則に従わない更新プログラムが度々やってくるようになりました。それは、.NET Framework向けの累積更新プログラムです。

 Windows 10 バージョン1803以前は、Windowsの累積更新プログラムに.NET Frameworkの更新プログラムも累積されていたのですが、バージョン1809から別の更新プログラムで提供されるようになりました(注:最新の.NET Framework 4.8がインストールされている場合、Windows 10 バージョン1803以前についても同様に、OSとは別の更新プログラムとして提供されます)。

 .NET Frameworkでも更新プログラムのB、C、Dのリリースサイクルは共通ですが、毎月必ず、更新プログラムが提供されるわけではありません。そして、リリースサイクルは共通なのですが、Windows Updateによる検出のされ方が、Windows向けの累積更新プログラムの仕様に従わないのです。

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