CDN大手のCloudflareのエッジネットワークが、新トランスポートプロトコル「QUIC」と新Webプロトコル「HTTP/3」に対応した。対応Webブラウザを利用すれば、Webサーバにアクセスする際の遅延を軽減できる。
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CDN(Content Delivery Network)大手のCloudflareは、2019年9月26日(米国時間)、同社のエッジネットワークが新しいトランスポートプロトコル「QUIC(Quick UDP Internet Connections)」と新しいWebプロトコル「HTTP/3」に対応したと発表した。
これにより、WebブラウザがHTTP/3に対応していれば、CloudflareのCDNサービスを利用している企業のWebサーバにアクセスした際の遅延が大幅に減り、高速化を期待できる。
Cloudflareは2018年9月に「HTTP over QUIC」(HTTP/3の当時の呼称)の予備サポートを発表して以来、IETF(Internet Engineering Task Force)を通じて業界他社と協力し、HTTP/3とQUICの策定に取り組んできた。例えばGoogle、Mozillaだ。さらに、Cloudflareはこれらの新標準がまとまるたびに、自社のネットワークで対応を進めてきた。
インターネットユーザーは現在、Google Chromeの開発版(カナリア)である「Chrome Canary」を使って、HTTP/3経由でCloudflareなどのサーバとやりとりできる。コマンドラインクライアントの「curl」もHTTP/3をサポートしている。Firefoxの開発版である「Firefox Nightlyリリース」も、近いうちにHTTP/3をサポートする見込みだ。
QUICはUDP上で、TCPのような信頼性を保つことができ、TLS(Transport Layer Security)のような暗号化されたデータ通信を実現する。HTTP/3はTCPの代わりにQUICを使用するため、WebサイトやAPIのようなWebエンドポイントへアクセスする場合、高速で、信頼性が高く、安全な接続を実現できる。
Cloudflareは、HTTP over QUICの予備サポートの発表後、同標準を試したい顧客がウェイティングリストに登録できるようにしてきた。このリストに登録した顧客企業に、HTTP/3が使用可能になったことを知らせる通知を順次送っているという。
Cloudflareから通知を受け取った企業は、Cloudflareのダッシュボードにアクセスし、自社ドメイン用にHTTP/3を手動で有効にできる。これにより、企業の顧客はHTTP/3を使って、企業のWebサイトやAPIとやりとりできるようになる。
Cloudflareは数週間以内に、全ての顧客企業がHTTP/3を利用できるようにする計画だ。
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