Gartnerが2020年の戦略的テクノロジートレンド「トップ10」を発表RPAの後を継ぐのは

Gartnerは、「企業や組織が2020年に調査する必要がある」とした戦略的テクノロジートレンドのトップ10を発表した。RPAからさらに広がる「ハイパーオートメーション」やヒトの意思や感覚を介した「マルチエクスペリエンス」などを挙げた。ブロックチェーンに関する言及もある。

» 2019年10月24日 17時00分 公開
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 Gartnerは2019年10月21日(米国時間)、「企業や組織が2020年に調査する必要がある」とした戦略的テクノロジートレンドのトップ10を発表した。

 Gartnerは戦略的テクノロジートレンドを、「テクノロジーが出現したばかりの状態を脱し、幅広く使われて広範な影響を与え始め、大きな破壊的変革をもたらす可能性を持つようになったトレンド」や、「今後5年間で重要な転換点に達する、変動性が高く、急成長しているトレンド」と定義している。

 Gartnerのバイスプレジデント兼フェローのデビッド・カーリー氏によると、Gartnerは、2020年の戦略的テクノロジートレンドの主な影響を整理、評価するに当たって、ヒトを中心に据える考え方である「スマートスペース」を念頭に置いた。

 スマートスペースは、ヒトと技術システムがよりオープンで、高度に接続され、調整が行き届いたインテリジェントなエコシステムの中でやりとりする物理環境を指す。ヒトやプロセス、サービス、モノなど、多くの要素がスマートスペースに集まり、没入型でインタラクティブな自動化されたエクスペリエンスの実現に至るという。

トップ10はヒトを中心に考えるテクロノジーと、スマートスペースに関連するテクロノジーの2種類に分かれる(出典:Gartner

 2020年の戦略的テクノロジートレンドトップ10の概要は次の通り。

(1)RPAからさらに広がるハイパーオートメーション

 ハイパーオートメーションは、機械学習(ML)やパッケージ化されたソフトウェア、自動化ツールを組み合わせ、作業を実行することを指す。自動化のステップには、発見や分析、設計、自動化、測定、監視、再評価が含まれる。

 ハイパーオートメーションの主要な焦点は3つある。「自動化メカニズムの範囲」「自動化メカニズムの相互関係」「自動化メカニズムを組み合わせて調整する手法」だ。ハイパーオートメーションでは、ヒトが作業に関わっている部分を複製する作業を支援するためのツールの組み合わせが重要になる。

 ハイパーオートメーションのトレンドは、RPA(Robotic Process Automation)が契機となって始まったが、ハイパーオートメーションはRPAにとどまるものではない。

(2)ヒトの意思や感覚を介したマルチエクスペリエンス

 ユーザーがどのようにデジタル世界を理解し、どのようにデジタル世界とやりとりするかという点で、ユーザーエクスペリエンスは2028年までに大きく変わる。これらの変化を引き起こす技術として、会話プラットフォームやVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)が挙がる。

 「ヒトに代わってコンピュータが、ヒトの意図を翻訳するようになる。さまざまな感覚を介したユーザーとのコミュニケーション能力によって、きめ細かな情報を提供するリッチな環境が提供される」(Gartnerのリサーチバイスプレジデント、ブライアン・バーク氏)

(3)4つの側面がある専門知識の民主化

 大規模でコストがかかるトレーングがなくても専門知識を入手できるようになることを「民主化」と呼ぶ。民主化には、技術的な専門知識(MLやアプリケーション開発など)の民主化と、ビジネスの専門知識(販売プロセスや経済分析など)の民主化の2分野がある。

 民主化の例として、アクセスがたやすくなることによる“市民アクセス”(市民データサイエンティストや市民インテグレーター)に加え、市民開発モデルやノーコードモデルの進化などがある。

 Gartnerは、2023年までに民主化トレンドが加速すると予測した。民主化トレンドには4つの重要な側面がある。

  • データとアナリティクスの民主化(ツールのターゲット層が拡大)
  • 開発の民主化(カスタム開発でAIツールを活用)
  • 設計の民主化(ローコード、ノーコード設計を拡大)
  • 知識の民主化(非IT担当者がツールやエキスパートシステムにアクセス可能)

(4)物理と情報に広がるヒトの拡張

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