2023年度には1兆7550億円に拡大 富士キメラ総研が国内ソフトウェア市場調査経費精算ソフトの成長が著しい

富士キメラ総研は、国内ソフトウェア市場の調査結果をまとめた。2019年度の市場規模は1兆3961億円の見込みで、2023年度には1兆7550億円に拡大すると予測する。中でも経費精算ソフトの成長が著しく、2023年度の市場規模は、2018年度比3倍に拡大する見込みだ。

» 2019年10月28日 08時00分 公開
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 富士キメラ総研は2019年10月24日、ソフトウェアの国内市場の調査結果をまとめた「ソフトウェアビジネス新市場 2019年版」を発表した。それによると、2019年度の市場規模は1兆3961億円の見込み。内訳は、パッケージが8315億円、SaaS(Software as a Service)が5646億円。同社は、2023年度の市場規模を1兆7550億円、SaaS比率は46.6%に増加すると予測する。

 富士キメラ総研は、注目市場として、ビジネスチャットやRPA(Robotic Process Automation)ツール、経費精算、人材管理、勤怠管理といったソフトウェアを挙げている。

画像 カテゴリー別ソフトウェアの国内市場(出典:富士キメラ総研

 ビジネスチャットは、テキストによってコミュニケーションをとるためのツール。SaaSとして提供される同ソフトウェアの市場規模は、2019年度が対前年度比37.1%増の144億円、2023年度には252億円になる見込みだ。

 富士キメラ総研によると、社内でのコミュニケーションや情報共有に対する需要が高まっており、幅広い業種や従業員規模の企業でビジネスチャットの利用が広がっているという。最近では、単なるコミュニケーションツールとしてだけではなく、業務の効率化などを目的に、勤怠管理ソフトや経費精算ソフトなどとの連携が進んでいる。

事務処理系のソフトウェア市場が大きく成長する見込み

 RPAツールは、人手不足や残業時間の見直しなどによって業務効率化のニーズが高まり、作業効率向上や人的コストの低減を目的に導入が進んでいる。2018年度は、試験的に活用していたユーザーの本格的な導入が始まり、新たにRPAツールの活用を検討する企業も増加したことから市場が拡大した。

 富士キメラ総研は「チャットbotなどAI(人工知能)関連製品との連携やプロセスマイニングツールによってユーザーの業務プロセスを可視化することでRPAツールを導入すべき業務を効率的に選定するようになったことから今後も導入が加速する」と予測する。同ソフトウェアの2019年度の市場規模は、対前年度比80.2%増の400億円の見込み。2023年度には535億円に拡大すると予測する。

 経費精算ソフトは、交通費や交際費、出張費などの経費処理に向けて、申請や承認、精算といった一連のワークフローを電子化し、業務の効率化を支援するツール。富士キメラ総研は「これまで専用製品の導入は限定的だったが、交通費精算などの経費精算に特化して機能性に優れたことや連携機能の充実によって利便性が向上したことで導入が進んだ」と分析する。同ソフトウェアの2019年度の市場規模は、対前年度比44.8%増の152億円の見込み。2023年度には317億円と、2018年度比3.0倍になると予測する。

 経費精算ソフトについては「製品の認知度が向上したことや働き方改革の推進に伴って申請や承認作業の時間削減需要が増加したことからERP(Enterprise Resources Planning)の経費精算機能を利用していた企業が専用製品に移行した。さらに、紙の書類で精算処理を行っていた企業にも新規導入が進んだことが、市場の拡大に寄与した」と富士キメラ総研は分析する。今後も、働き方改革の推進に後押しされて市場は拡大する見込みだ。

 人材管理ソフトは、従業員の採用や教育、配置、評価といった一連の人材活用プロセスを管理・支援するツール。これまでは、人事・給与ソフトのオプション機能を利用する例が多かった。富士キメラ総研によると「2017年度以降、働き方改革の推進や労働者人口の減少が懸念される中で、人材採用/育成や人事評価業務の効率化、質の向上に注力する企業が急増したことから導入が進んだ」という。2019年度の市場規模は、対前年度比23.0%増の187億円の見込み。2023年度には287億円に達すると予測する。

 勤怠管理ソフトは、勤務スケジュールの作成や出勤/退勤時刻の入力や修正、労働時間の把握、休暇管理、残業時間/有給休暇日数管理など、従業員の勤怠/就業データを管理するためのツール。2019年4月以降は、働き方改革関連法に対応するため導入が相次いだ。2019年度の市場規模は、対前年度比18.9%増の195億円の見込み。富士キメラ総研によると「未導入企業が多いため、今後も引き続き市場は成長する」という。2023年度の市場規模は247億円に達すると予測する。

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