強化学習によってIoT機器が自ら最適な無線チャネルを選択 東京理科大通信の安定性を「報酬」と考える

東京理科大学工学部電気工学科の教授を務める長谷川幹雄氏らのグループは、強化学習によって個々のIoT機器が自ら最適なチャネルを選択する自律分散型アルゴリズムを開発した。省電力、低性能の機器にも実装できる。

» 2019年11月13日 08時00分 公開
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 東京理科大学工学部電気工学科の教授を務める長谷川幹雄氏と慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の特任准教授を務める金成主氏らの研究グループは2019年11月11日、強化学習によって個々のIoT(モノのインターネット)機器が自ら最適なチャネルを選択する「自律分散型」のアルゴリズムを開発したと発表した。省電力で演算性能の低い機器に実装して検証した結果、30台以上のIoT機器が密集して稼働し、ネットワーク負荷が頻繁に変化するような環境でも、安定した無線通信に成功したとしている。

 IoT機器のような無線通信機器が密集した状況では、パケットの干渉や衝突など、ネットワークの混雑によるデータ転送の遅延や断絶の頻度が高まる。同じ周波数帯域でも異なるチャネルを使えばネットワークは混雑しないため、それに向けて、例えばその都度最適なチャネルを割り当てる「マルチチャネル」型アルゴリズムなどが開発されている。

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 ただ、工場やビル、農場などでデータをリアルタイム収集する目的に使われるIoT機器は一般に、省電力で演算性能が低い。そのため、機器ごとの時刻の同期や、機器間での頻繁な通信などが必要なマルチチャネル型アルゴリズムは、こうしたIoT機器への実装に向いていない。

「多腕バンディット問題」をモデルに

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