ノークリサーチは、中堅中小企業向け販社やSIerのプライム率と商材ポートフォリオに関する調査結果を発表した。プライム率は、IT商材を開発・販売するベンダーやサービス事業者にとって協業すべき販社やSIerを選択する際に留意すべき指標。
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ノークリサーチは2019年12月4日、年商500億円未満の中堅中小企業向け販社やSIer(システムインテグレーター)のプライム率と商材ポートフォリオに関する調査結果を発表した。
ここでいうプライム率とは「当該の販社やSIerが最も主要な委託先または購入先となっている顧客の割合」を指す。ノークリサーチは、IT商材を開発・販売するベンダーやサービス事業者にとって協業すべき販社やSIerを選択する際に留意すべき指標だとしている。
同社は、1300社の中堅中小企業に対して、過去3年以内に業務システムを委託したり購入したりした業者と、その中で3年間の累計金額が最も高かった業者を聞き、前者と後者の回答割合からプライム率を求めた。
プライム率が最も高かったのはNTTデータ(系列企業を含む)で、プライム率は75.2%だった。次いで、TKC(75.0%)、大塚商会(70.8%)、オービック(66.3%)、リコー(系列企業を含む、66.3%)の順だった。
これに対して業務システムの委託先や購入先として多かったのは、大塚商会(21.9%)、NTTデータ(系列企業を含む、10.9%)、オービック(9.5%)、リコー(系列企業を含む、8.0%)、富士ゼロックス(系列企業を含む、7.0%)の順だった。
これらプライム率と導入社数シェアを比較して、ノークリサーチは次のように分析している。
「導入社数シェアが2割超と高い大塚商会は、同社が強みとする幅広いIT商材が大きく影響している。NTTデータの顧客層は大企業のみと考えがちだが、基幹系システムや小規模企業向けの税務申告ソリューションなども展開し、中堅企業でも導入が見られる。これら2社は導入社数シェアとプライム率のどちらも高く、IT商材の幅広さは導入社数シェアとプライム率の両方を高める上での重要なポイントになっている。提供できるIT商材の幅が広ければ、顧客のニーズに応えられる可能性も高くなる」
ノークリサーチは、基幹系システムなど企業活動の根幹を支えるIT活用を担っている場合は、提供するIT商材の幅が広くなくてもプライム率が高くなることがあると指摘する。例えばTKCだ。特に年商5億円未満の小規模企業では、重要度の高い業務システムが会計などに限定されるため、それを提供する販社/SIerがプライムの販社/SIerとなりやすい。
一方、IT商材を開発・販売するベンダーやサービス事業者が販社やSIerを選定する際には、ノークリサーチは「各IT商材の分野が占める販売割合を見るべきだ」としている。例えば、セキュリティ関連製品を開発するベンダーの場合は、導入社数シェアやプライム率が高くても、セキュリティ関連の販売が少ない販社の優先度は下がる。セキュリティ製品をハードウェアにバンドルすることを検討している場合は、ハードウェア販売の占める割合が重要な基準になる。その判断材料となるのが、以下の調査結果だ。
ノークリサーチの調査によると、販社/SIerごとの、各IT商材分野が占める販売比率は次の通りだ。
運用管理系システムの販売比率が最も高かったのはリコー(系列企業も含む)で、62.3%だった。次いで、日立ソリューションズの60.7%、日本IBM(関連会社や子会社を除く)の60.0%と続いた。
これに対してサーバやストレージ、ネットワーク、端末といったハードウェアの販売比率が最も高かったのは富士通(関連会社や子会社を除く)で、71.0%だった。次いで、リコー(系列企業も含む)の68.1%、日本IBM(関連会社や子会社を除く)の64.0%と続いた。
運用管理系システムとハードウェア販売比率を比べると、同じ企業が上位に入っている。そのため、ノークリサーチは「セキュリティ製品をハードウェアにバンドルする際のチャネル選択は比較的取り組みやすい」と説明している。
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