レノボのGianfranco Lanci氏は、2020年以降のテクノロジートレンドを予想した。5Gや折りたたみデバイス、教育へのAR(拡張現実)/VR(仮想現実)の浸透、クラウドゲーミングの普及などを挙げた。
レノボのコーポレートプレジデントでCOO(最高執行責任者)を務めるGianfranco Lanci(ジャンフランコ・ランチ)氏は2019年12月24日、2020年以降にトレンドになるとみられる技術予測を発表した。5G(第5世代移動通信システム)や折りたたみ可能なモバイル機器といった技術面に加え、ワークスタイルの革新や医療の地域間格差など市民生活に関することにも言及した。
ランチ氏が予測した技術トレンドのトップ5は次の通り。
ランチ氏は、4Gの100倍以上に当たる10Gbpsの通信速度が出る5Gにより、SFのような世界が現実になるとしている。
企業は、従業員の生産性向上や生産設備の効率的運用、収益力の強化に向けて、製造拠点にローカル5Gでネットワークを構築する。医療分野では、医師がロボット装置を操作して、遠隔地の患者に対して手術できるようになる。日常のビジネスでは、リモート会議に自分のホログラムを出席させられるかもしれない。
ランチ氏は、5G時代のPCはモバイル環境でも常にネットワークにつながっているとしており、バッテリー駆動時間が大幅に伸びるとともに、音声やペンでの入力が当たり前になると予測する。大画面やキーボード入力が必要な業務はPCの独壇場だ。ネットワークのエッジ側にいるユーザーの生産性を高め、信頼できるツールであり続ける。
2020年には、折りたたみ可能なデバイスが登場する。画面を折りたためれば、スマートフォンの携帯性と、ノートPCの生産性や作業のしやすさを併せ持つ機器が作れる。
ランチ氏は、企業のグローバル化が進みテレワークや出張の機会が増える中、従業員は業務の生産性を高める技術を求めていると分析する。それには使いやすく、携帯性に優れた機器が必要だ。折りたたみデバイスが、こうしたニーズを満たすとしている。
ランチ氏は、消費者の関心が「モノ」から「コト」に移る中、製品そのものよりもCX(カスタマーエクスペリエンス)が重要になっていると指摘する。ただし消費者は、優れた体験の裏で動いている技術のことは気にしない。
同氏は、2020年にはAIへの過大な期待と不安が収まるとともに、AIはもはや最新技術として脚光を浴びる存在ではなくなるとみている。AIをマーケティングのバズワードとして使用する企業がもてはやされる時期は過ぎ、AIを活用して社会に貢献しようとする企業が注目されるようになるとしている。
さらに同氏は、意図せずAIにバイアス(偏向)がかかっている可能性を指摘する。AIを作っているのが人間だからだ。そのため同氏は、2020年以降、導入しようとしているAIが反社会的な判断を下していないかなどをチェックするために、「企業はAIの利用を統制・監査する専門部署を設置することになる」と予測する。
さまざまなモノにセンサーが付き、ネットワークに接続されることで、生活の利便性が高まる。その半面、あらゆるモノがネットに接続されることで、セキュリティとプライバシーのリスクが高まっていることも事実だ。
ランチ氏は、「2020年以降、企業がプライバシー保護を重視し順守することでブランドや製品を差別化できるようになる」と予測する。そのためテクノロジー企業には、プライバシーを確実に保護できる、セキュリティの高いソフトウェアや機器の開発が求められ、全ての企業は、収集するデータとその使い方に対してこれまで以上に透明性を高める必要があるとみている。
ランチ氏は、これまで人々はワークフローの最適化や労働時間の短縮、密接なコミュニケーションなど、性能向上を続ける各種の機器をうまく使いこなしてきたと指摘する。同氏は、2020年もこの流れが続くとみている。例えば、リモート会議システムに導入されたAIが、その場で議事録作成や翻訳をこなすようになるなどだ。新しい技術が新しい仕事の進め方を生み出す。これからは、コラボレーションの新たな手法を考え出すことが新しいビジネスの創造そのものになるかもしれないと、同氏は予測する。
ランチ氏によるその他の技術予測は以下の通り。
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