ガートナーは、エンタープライズアプリケーションの開発について、人員やスキルの不足に直面している企業の割合が8割との調査結果を発表した。その対処としては外注が過半数を占め、積極的に育成しようとする割合は2割程度だった。
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ガートナー ジャパンは2020年2月3日、エンタープライズアプリケーションの開発について、人員やスキルの不足に直面している企業の割合が8割にも及ぶとの調査結果を発表した。特に日本の企業では、レガシーアプリケーションの近代化が課題となっており、その実現に必要な人員やスキルが不足していると同社は指摘する。
ガートナーの調査は、2019年5月に実施した。エンタープライズアプリケーション開発について、人員またはスキル(人材)に不足があるかどうかを尋ねたところ、人員が不足していると回答した企業の割合は81%、スキルが不足していると回答した割合は83%だった。この傾向は、業種や従業員数にかかわらず同様だった。
こうした人員やスキルの不足に対して、企業はどのように対処しているのだろうか。人材の確保や育成の施策について聞くと、最も多かった回答は「外注に依存」で、59%が挙げた(複数回答)。次いで、「外部/社内研修」が25%、「外部採用」が23%、「OJT(On the Job Training)」が21%だった。
一方、ビジネスの阻害要因になっているアプリケーションの有無については、「ある」と回答した割合が51%を占めた。そして、「ある」と回答した企業にそう考える理由を聞くと、「必要なタイミングですぐに変更できない」(51%、複数回答)や、「ブラックボックス化」(49%)、「技術者不足」(38%)などが挙がった。
こうした調査結果を受けて、ガートナーのアナリストでシニアディレクターを務める片山治利氏は、次のように述べている。
「日本の企業では人材の確保や育成の施策として外注への依存度が高く、『外部からの採用によってIT部門の人員を増やそうという意志が弱い傾向』が浮かび上がった。従業員数の多い大企業は、外部から採用する割合が40%台半ばで比較的大きいが、人材の確保や育成に積極的に取り組んでいない企業もある。こうした企業の間では、今後のデジタルビジネス時代への適応力に差が出てくるだろう」
さらに同氏は、次のように指摘する。
「これからアプリケーションの刷新に取り組む企業は、既存のアプリケーションがビジネスを阻害している要因を克服すべきだ。阻害要因のトップに挙げられた『必要なタイミングですぐに変更ができない』については、アプリケーションの構造に問題がある場合がある。一方、『ブラックボックス化』を解消するには、ドキュメント類の整備とともに、設計ツールや開発ツールの採用が有効だ。『技術者不足』については、刷新後に必要となる人員やスキルを特定し、アプリケーションを内製/外製する場合の両面から人材確保の方針を検討する必要がある。人材不足については、今後もIT技術者の獲得がますます困難になると予想されるため、早急に自社の課題克服に着手し、積極的な対応を進めていく必要がある」
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