Microsoft Azureの管理サービスの一つ「Windows Analytics」が、2020年1月31日で完全に終了しました。後継サービスとしては既に「Desktop Analytics」が利用可能ですが、これはオンプレミスの管理ツールと連携するクラウドサービスであり、Azure単体では利用できないことにご注意ください。
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Azureポータルで利用可能だった「Windows Analytics」は、「Windows 7」や「Windows 8.1」から「Windows 10」へのアップグレードを支援し、Windows 10への移行後の品質更新プログラムや機能更新プログラムの対応状況を監視できるサービスです。「Upgrade Readiness」「Device Health(デバイスの正常性)」「Update Compliance(更新プログラムのコンプライアンス)」の3つのソリューションで構成されていました。2020年1月31日、Upgrade ReadinessおよびDevice Healthの2つのソリューションが廃止されました。
Windows Analyticsの後継としては、2019年10月に一般公開された「Desktop Analytics」が利用可能です。Windows Analyticsのサービス廃止の影響を受ける利用者には、2019年末までにメールによるサービス廃止と移行オプションが通知されているはずですし、Azureポータルにも通知があったはずです(画面1)。
Windows Analyticsの廃止されたソリューションは、Desktop Analyticsの一般提供開始後、Azure Marketplaceから削除され、新規利用を開始することはできなくなっています。なお、Update Complianceに関しては、2020年2月以降も引き続き利用可能です(画面2)。古い記事やドキュメント、書籍などでWindows Analyticsの存在を知り、検討しようと思っても、既にサービスが廃止(Update Complianceを除く)されていることに留意してください。
Upgrade ReadinessとDevice Healthのソリューションのログデータは廃止以降収集されなくなり、Log Analyticsの保持ポリシーに従って時間が経過すると消去されます。アイテム保持ポリシーは、Log Analyticsの価格レベル(作成時期によってはレガシー価格レベル)によって異なります。
Windows Analyticsのアップグレード支援を継続利用したい場合は、ログデータが消去される前にDesktop Analyticsに移行する必要があります。Desktop Analyticsを利用できない場合は、Log Analyticsワークスペースのソリューションからログデータをエクスポートすることは可能です。
しかしながら、サービス廃止に対処しようとAzureポータルを探してみても、該当するリソースを見つけられない人がいるかもしれません。Windows Analyticsは当初、「Microsoft Operations Management Suite(OMS)」のソリューションとして「Windows Analytics」という名前で登場しました。
Azureポータルに統合されてからは、Log Analyticsワークスペースのソリューションとして「Upgrade Readiness」および「Device Health」という名前で提供されるようになったからです(画面3、画面4)。利用中だった場合は、Log Analyticsのワークスペースの「概要」または「ソリューション」のページで確認できるはずです。
Windows Analyticsの後継として2019年10月に一般提供が開始されたDesktop Analyticsは、Windows AnalyticsのようにAzureポータルだけで利用できるサービスではありません。
Desktop Analyticsは、クラウドサービス(「Microsoft Intune」や「Office 365」など)と統合されたオンプレミス向けのシステム管理製品「Microsoft Endpoint Configuration Manager(旧称、System Center Configuration Manager)Current Branch」に標準で組み込まれている機能であり、Configuration Manager Current Branchと密接に統合されています(画面5)。
2020年1月末時点で、Desktop AnalyticsはConfiguration Manager Current Branchの以下のバージョンで利用できます。
この機能を利用するには、Configuration Manager Current Branchのライセンスに加えて、Azureサブスクリプションが利用可能であること(Microsoftアカウント以外のグローバル管理者のアカウントが必要)、管理対象のWindows 10デバイスがWindows 10 Enterprise E3またはE5などのサブスクリプションライセンスでカバーされていることなどの要件があります。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2019-2020)SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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