Microsoftが毎月、Windowsやその他の製品に対して提供する「品質更新プログラム」。ここ数年、品質更新プログラムが“品質を向上する更新”ではなく、“品質を低下させる更新”なんじゃないかという状況が続いているように感じます(個人の感想です)。2020年に入って2カ月、幾つかの品質更新プログラムがさまざまな問題を引き起こしているようですが、Microsoftが認識し、公表しているものをまとめてみました。なお、Microsoftから公表されていないものの、ユーザーフォーラムなどでは2020年2月のセキュリティ更新を原因とする他の深刻な問題(ユーザープロファイルやデータの消失、起動不能になるなど)も指摘されているようです。ご注意ください。
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2020年1月14日に延長サポートが終了した「Windows 7」は、その日にリリースされたセキュリティ更新プログラム(日本では翌日の15日に利用可能に)が、最後の累積的な更新プログラムになるはずでした。
しかし、その日にリリースされた以下のセキュリティ更新プログラムには、特定の条件下で「壁紙が真っ黒になってしまう」という不具合が発生しました。Windows Updateで配布されたのはマンスリーロールアップ(マンスリーセキュリティ品質ロールアップ)で、セキュリティのみの更新プログラムは「Microsoft Updateカタログ」または「Windows Server Update Services(WSUS)」のみで提供されたものです。
“特定の条件下”とは、壁紙の画像の配置オプションとして「画面に合わせて伸縮(Stretch)」を設定している場合です。この問題は、2020年1月のセキュリティ更新のインストール後に壁紙を設定した場合でも、いったんログオフして再ログオンすると再現できました(画面1)。
Windows 7に対する2020年2月以降のセキュリティ更新プログラムは、「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Updates、ESU)」を購入した場合か、Microsoft Azure上のWindows 7 Enterpriseに対してのみ提供されることになります。しかしながら、この壁紙問題の修正を全てのユーザーに提供することをMicrosoftは約束し、2020年2月8日(日本時間)に以下のマンスリーロールアップのプレビューまたはスタンドアロン更新プログラムが提供されることになりました(画面2)。
更新プログラムの名称の「2020-01」というリリース月が示すように、マンスリーロールアップのプレビューは、毎月後半にリリースされる新たなセキュリティ修正を含まない累積的な更新プログラムです。主に、翌月のマンスリーロールアップに含まれる予定のセキュリティ以外の修正を、先行的に評価できるように提供されています。更新プログラムの名称とは異なり、2020年2月8日になって遅れてリリースされたのは、ESUを購入していないデバイスに対してもインストールできるように修正が加えられたからでしょう。
なんとも恥ずかしい、Windows 7のサポート終了でした。もし、ESU非購入者でWindows 7をこれからも使い続けるというなら、もうWindows Updateの不具合に悩まされることもなく、安定したPC環境を利用できると思います。ESU購入者は、最大2023年1月まで毎月、Windows Updateの不具合におびえながら過ごすことになるでしょう。
なお、ESUの対象は、「Microsoft Security Response Center(MSRC)」での深刻度「緊急(Critical)」および「重要(Important)」レベルのセキュリティ問題に対するセキュリティ更新プログラムです。サポートが終了したWindows 7と「Windows Server 2008/2008 R2」には2月のマンスリーロールアップのプレビューは提供されなかったのはそのためでしょう(Windows 8.1〜Windows 10 バージョン1809向けには2020年2月26日に提供されています)。1月のマンスリーロールアップのプレビューは、壁紙問題がなければ提供の予定はなかったのかもしれません。
2020年2月12日(日本時間)のWindows Updateでは、いつもの累積的な更新プログラムとは別に、スタンドアロンのセキュリティ更新プログラムが配布されました。これらのセキュリティ更新プログラムは、サードパーティーのUEFIブートマネージャの脆弱(ぜいじゃく)性問題を解消するためのものでした。
このセキュリティ更新プログラムには、インストールに失敗するなど幾つか問題があり、数日後には配布が停止されました。この更新プログラムの提供が再開されることはなく、将来、問題を改善した別のセキュリティ更新プログラムとして配布される予定です。
既にインストールが成功した場合、どう対処すればよいのかはっきりしませんが、もしインストールに成功したのがWindows 10であれば、アンインストールしておくことをお勧めします。セキュリティ更新プログラム「KB4524244」の既知の問題として、「PCのリセット(このPCを初期状態に戻す)」が失敗するという問題があるからです(画面3)。
2020年2月以降のWindows Updateやその他の利用でPC環境がおかしくなってしまい、PCのリセットで解決しようとしてこの問題で失敗するということになれば、もうどうしてよいか分からなくなるかもしれません。
筆者が確認した限り、セキュリティ更新プログラム「KB4502496」がインストールされている「Windows 8.1」の「PCのリフレッシュ」には、失敗するといった影響はありませんでした。Windows Serverには「PCのリセット」や「PCのリフレッシュ」の機能は搭載されていません。
ただし、「KB4524244」と「KB4502496」のMicrosoftサポート情報には詳しく書いていませんが、“If this update is installed and you are experiencing issues, you can uninstall this update(この更新プログラムがインストールされたことで問題が発生する場合は、この更新プログラムをアンインストールできます)”の複数形の「issues」は別の問題が発生する可能性を示唆しています。現状、何も影響がなさそうでも、アンインストールしておいた方がよいかもしれません(画面4)。アンインストールするかしないかは、各自のご判断で。
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