IDC Japanは、国内企業のデータ運用成熟度分布を発表した。国内のユーザー企業を対象に実施した調査を基に分析し、5段階で分類した。その結果、第2段階にある企業が最も多かった。データ管理に関して先進的な企業に比べて未成熟な企業が多く、偏りがあることが分かった。
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IDC Japanは2020年6月8日、国内企業のデータ運用成熟度分布を発表した。国内の従業員数100人以上のユーザー企業を対象に実施した調査を基に、データ運用改革ニーズの高まりにどのように対応しているか、または課題を抱えているかについて分析した。それによると、データ管理に関して先進的な企業に比べて、未成熟な企業が多く、偏りがあることが分かった。
IDCはデータ運用の成熟度分布を求めるに当たって、次の7項目を定めた。「データ利用度」「クラウドとのデータ連携」「データ分析能力/人材などのリソース」「データ品質の整備状況」「データガバナンスの状況」「データ管理ソフトウェアによる自動化」「データ活用の業務への貢献度」の7項目だ。
データ運用成熟度モデルでは、これらの項目を基に、ユーザー企業のデータ運用の状態を5段階で分類した。第1段階の「未整備」は、データ運用の仕組みの大部分が整備されていない状態。第2段階の「途上前期」は、データ運用の仕組みの整備途上だが、改善点が多く残っている状態。第3段階の「途上後期」は、データ運用の仕組みの整備が進み、残っている課題が少ない状態。第4段階の「要件充足」は、データ運用の仕組みが組織全体に整っており、ビジネス要件を満たした状態。そして第5段階の「迅速な適応」は、データ運用の仕組みがシステマチックに組織全体に整った段階で、規制や競合などの環境変化に素早く対応できる状態を表す。
分類の結果、第2段階の「途上前期」にある企業が最も多く、全体の3割強を占めた。次いで、第1段階の「未整備」と第3段階の「途上後期」が、いずれも25%前後。第5段階の「迅速な適応」に達していた企業の割合は、わずか5%強にすぎなかった。
IDC Japanでエンタープライズインフラストラクチャのリサーチマネージャーを務める鈴木康介氏は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが進む中で、クラウドサービスの利用は大きなメリットをもたらしている。だが、データ運用の点では、マルチクラウド連携、コンプライアンス、コストコントロールなど新たな要件が加わる。一部のユーザー企業は既に効果的な仕組みでデータ運用の課題に対応しているが、多くの場合、環境整備は不十分で、データ運用基盤の戦略的な再構築が求められる状況にある」と述べている。
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