機械学習/ディープラーニングの進化は速い。どうやってその最新技術情報に追いつけばよいのか。そんな状況の中、実際に筆者が実践活用して役立っており、本心でお勧めできる3つのメルマガを紹介する。
現在の「人工知能/機械学習」分野は、新たな技術が次々と生まれるホットな領域の一つである。ただし、その最先端の情報を追いかけるのは容易ではない。
その理由の一つが、最先端技術の情報はさまざまな場所/人から発信され、しかも膨大な情報量であるためだ。それら全ての情報源と情報量をウォッチするのは難しいし、Twitter上で情報を追いかけるにしても、大量の玉石混交の情報が流れており、なかなか思いどおりに効率よくは必要十分な情報が手に入らない(という人は多いのではないだろうか)。特に論文に載ったばかりの知見や、海外(特に米国)で流れている重要技術情報をキャッチするのは大変である。
筆者も一日に2時間ぐらいは、そういった情報収集作業を行っている。しかし、そんな苦労を誰もがすべきだろうか。そんなことをしなくても、非常に質の高い情報収集を効率的にできる手段があるのだ。それがメルマガ(メールマガジン)である。メルマガというと、Twitterなどと比べてちょっと古いツールなので、気が引けるところがある。筆者自信も最初は「登録だけはしてみるか」ぐらいのつもりだったが、今回紹介する3つの週刊メルマガに限っては貴重な情報源として毎週欠かさずに読み続けているのだ。
理由は、論文情報など筆者が自分で情報収集するのは不可能だと思える情報が、メルマガに分かりやすくまとめられて配信されているからだ。「人工知能/機械学習」のトレンドや「次に何が起こるか」を予測する上で大いに参考になっている。
そこで本稿では、その3つの週刊メルマガ(いずれも無料)を、筆者のお勧め順に紹介していく。ちなみに、これらのメルマガの内容は、機械学習の初学者にとっては難しい部分もあるとは思うが、分からないなりにも読み続けることで、少しずつ今日の最先端技術の概要がつかめてくると思うので、初学者を含めて機械学習に関わる人全員に継続的に講読することをお勧めしたい。
piqcy(@icoxfog417)氏が配信する週刊メルマガ。2017年6月から配信が開始されている。内容的にも充実しており、かつ信頼もできるので、1位にした。
このメルマガは、「News(ニュース)」「Articles(記事)」「Resources(リソース)」という3部で構成され、メルマガの冒頭にメルマガ著者による各部への概要コメントがコンパクトにまとめられている(図2)。ここが非常に参考になるので、毎週、ザッと目を通した方がよい。基本的に後半でより詳しい説明が掲載されているので、気になるトピックがあれば、ここで目を付けておこう。
メルマガ冒頭の概要コメントが終わると、3部構成それぞれの内容がブレークダウンされて紹介されるリンク集となっている(図3)。先ほど目を付けておいた内容は、ここでより詳しく説明を読み、必要に応じてリンク先を参照するとよい。
これだけの情報を個人で収集して発信していることに驚くとともに、頭の下がる思いである。
u++(@upura0)氏が配信する週刊メルマガ。2019年12月から配信が開始されている。内容としては、Kaggle(データ分析コンペティション)に関連する最新ニュースとコンペティションの情報が発信されている。
このメルマガは、「News(ニュース)」「Competitions(コンペティション)」という2部で構成され、メルマガの冒頭に一番注目すべきニュースとコンペティションが取り上げられ、メルマガ著者によるコメントが添えられている(図5)。先ほどの「Weekly Machine Learning」ではあまりカバーされていないコンペティション関連情報を収集するのに役立つので、併せて講読するのがお勧めだ。内容は機械学習の初心者でもとっつきやすいレベルで書かれている(と思う)。
メルマガ冒頭の注目ニュースとコンペティション情報が終わると、それ以外のニュースが多数紹介されるリンク集となっている(図6)。
特にKaggleに挑戦したい人や、既にしている人、また機械学習の初学者にもお勧めである。
分かりやすいディープラーニング講義などで有名なAndrew Ng(アンドリュー・ング、@AndrewYNg)氏が設立したAI教育組織「deeplearning.ai」が配信する週刊メルマガ。2019年4月から配信が開始されている。内容としては、冒頭で時事ネタを取り上げた雑談を行って気分が和らいだところで、機械学習関連のニュースが深掘りされる。※ただし当然、英語(だが、ChromeやDeepLなどで日本語に翻訳すれば、全く問題ない)。
ちなみにメルマガ冒頭は、「Dear friends,」で始まり「Keep learning! Andrew」で結ぶ、手紙スタイルとなっている(図8)。
冒頭の雑談が終わると、ガラリと雰囲気が変わり、幾つかの重要ニュースが本格的かつ深く掘り下げられて解説される(図6)。しかも分かりやすい。Andrew Ng氏自らが書いている(もしくは監修している)と思われるので信頼性は抜群だ。
ディープラーニングに取り組む全ての人にお勧めである。
以上、筆者自身が実際に講読して読み続けている3つのメルマガを紹介した。機械学習に関する最新情報の収集は本当に大変ではないかと思う。そのように感じている読者諸氏にとって、本稿が何らかの一助にでもなれれば筆者としてうれしい。
また、この場を借りて、このようなメルマガを無料で配信されている方々にあらためて「ありがとう」と感謝を申し上げておきたい。
ちなみに(手前味噌になるが)筆者自身の場合、情報収集したコンテンツをせっせとブックマークしている(例:[人工知能]タグ=AIのビジネス活用事例、[機械学習]タグ=機械学習のテクニカルな話題、同内容のTwitterへの投稿も始めた)ので、そのブックマーク履歴を散策したりしても、ある程度効率的に情報収集できるかもしれない……ということで最後に簡単に紹介させていただいた。
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