2022年3月末の最新状況に合わせて改訂。はじめてのAIから、機械学習、深層学習、自然言語処理、統計学、社会人のためのデータサイエンス(実用知識)、大学生のためのデータサイエンス(理論知識)まで、全28個の講義内容を紹介。本稿独自に考察した、学習者対象やお勧めの学習方法についても示す。
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機械学習などの講義動画が無償公開されている「gacco」というサイトをご存じだろうか? gaccoとは、ビジネスから、各種教養、学術まで幅広い分野を対象に、大学レベルの本格的な講義を、大学や企業、行政機関などが無償で提供しているサイトである。誰もが無償かつ日本語で学習できるオンライン講座形式の学習プラットフォームとなっている(図1)。
2022年10月11日の執筆/改訂時点では、機械学習/統計学/データサイエンス関連では下記の無料オンライン講座が存在する。
上記箇条書きの各行末のカッコ内は、講座ごとに決められている受講可能期間を示している(※各期間は本稿の解説部分にリンクされている)。「未定」となっているのは前期の受講可能期間が終わってしまったため。ただし、各講座は定期的に再開講を繰り返しているので、「未定」と記載されているものも、今後、再開講される可能性が高いので、毎月、gaccoをチェックしてみるとよい。
それぞれ10分程度の動画で構成されており、すき間時間を利用して手軽に学べる内容となっている。
本稿執筆時点のお勧めは、10月に開講される「統計の入門」「統計学II」「社会人のためのデータサイエンス演習」と、11月に開講される「機械学習」である。
さて以下では、gaccoにおける講義の特徴を示し、それぞれの講義内容について簡単に紹介していく。
以降に掲載する画像は、講義動画からスクリーンキャプチャーして引用したものである。
gaccoの特徴(であり特長)は、1本の講義動画が「10分前後」となっていることだ(図2)。※ただし、10分はあくまで基本基準であって、内容によって6分のこともあれば、14分のこともあるので注意してほしい。
ついでに言うと、図中で青色の枠で示したように、再生速度が「0.5x/0.75x/1.0x/1.25x/1.5x/1.75x/2.0x」の倍数で変更できる。また、全画面表示も可能である。
gaccoでは、学習期間が週ごとに区切られている。図3に示すように、多くの講座は、全4週(つまり28日、1カ月間)という分量になっている。※ただし、4週はあくまで基本基準であって、内容によって3週のこともあれば、5週のこともあるので注意してほしい。
各週の講義動画は、7本前後となっている(※これもケースバイケースで、図3では例えば9本になっている)。つまり、毎日1本(〜2本)のペースで視聴すれば、コツコツと無理なく学習できるというわけだ。
ちなみに、図中で青色の枠で示したように、講義動画がダウンロードできる場合もある。
全部の講義内容を詳しく書き出すと長文になってしまう。ここでは、ざっくりとした概要紹介と公開期間、簡単な目次のみを掲載する。目次自体は長いが、一字一句をしっかりと読み込むようなものでもないと思うので、ざっくりと目を通しながらスクロールしていってほしい。
「AI活用人材育成講座」内の各講座はいつでも始められるように常時オープンしており、講座内容が参照できなくなる期間はないと考えられるため、講義内容の記載は割愛した。
その紹介の後で、お勧めの学習方法についてまとめているので、そちらもぜひ目を通していただきたい。
グーグルが提供する講座。いつから学習を開始してもよい「開始日可変型講座」で、課題提出が45日間となっている。
この講座では、AIの実例から、機械学習や深層学習(=ディープラニング)の概要が学べる。
「AIやディープラーニングについてよく分からない」という人は、下記のリンク先から、この講座を受講してみてほしい。
確認テスト(※詳しくは、後述の「お勧めの学習方法」を参照)を含めて、全13本の講義の目次は以下のようになっている。頑張れば、1〜2時間程度で全講義の視聴とテストが終わるだろう。
東北大学が提供する講座。東北大学オープンオンライン教育開発推進センターでは、オープンオンライン講座を企画&提供しており、この講座は「東北大学で学ぶ高度教養シリーズ」の第4弾となる。
この講座では、「AIとは何か」から「社会の中でどのように活用できるのか」までを、大学や企業における具体的な研究事例を基に学べる。
「AIを活用して何か新しいものを作りたい、新規ビジネスを開始したい」など、AIの社会実装に興味がある人は、下記のリンク先から、この講座を受講してみてほしい。
確認テストを含めて、全54本の講義の目次は以下のようになっている。各週で視聴する動画の本数は9本前後と少し多めなので、平日に2本ずつぐらいのペースで視聴する必要がある。
AI企業であるデータグリッド社が提供する講座。この講座では、AIの概要からAI開発プロジェクトの進め方が学べる。
「実際にAIのプロジェクトを実施したい」という人は、下記のリンク先から、この講座を受講してみてほしい。
講義の目次は以下のようになっている。筆者自身がまだ受講していないため、動画本数などは不明。
データサイエンス企業であるデータミックス社が提供する講座。ビジネス的な観点から機械学習に基づくデータ分析とその活用を解説している。
「ビジネス目線で機械学習によるデータ分析について知りたい」という人は、下記のリンク先から、この講座を受講してみてほしい。
理解度テストを含めて、全25本の講義の目次は以下のようになっている。動画は比較的短いので、3時間程度で全講義の視聴とテストが終わるだろう。
社会人教育プログラム「Smart SE(スマートエスイー)」が提供する講座。Smart SEとは、政府が推し進める「IT/AIのイノベーティブ人材の育成」を目指して設立された産学連携ネットワーク組織で、早稲田大学が中心となり、35以上の大学や企業、業界団体などが協賛して活動している。
この講座では、Pythonの基礎と、教師あり学習/教師なし学習/半教師あり学習/強化学習といった機械学習の基礎が学べる。
「Pythonや機械学習が初めて」という人は、下記のリンク先から、この講座を受講してみてほしい。
ちなみに、以前紹介した「TSUKUBA OCWの機械学習の講義」よりは難易度が低いので、もう少し易しい内容で学びたい人にはお勧めである。ただし、必要最低限の数学は出てくる(※分からない数式などあれば、その都度、ネット検索などして意味を調べれば問題ないだろう)。
確認テストを含めて、全45本の講義の目次は以下のようになっている。
Smart SEが提供する講座。この講座では、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)の入門レベル知識や、実践テクニック、ビジネスへの応用例などといった、深層学習の基礎が学べる。
「深層学習の理論と技法を学びたい」という人は、下記のリンク先から、この講座を受講してみてほしい。
確認テストを含めて、全52本の講義の目次は以下のようになっている。本数は多いので、日に2本のペースで視聴する必要がある。
Smart SEが提供する講座。この講座では、ディープラーニング以前のAI研究領域である記号的知識表現と推論の技術から、最近の自然言語処理の技法までが学べる。
「ディープラーニング以外のAIも含めて、満遍なく学びたい」「自然言語処理に興味がある」という人は、下記のリンク先から、この講座を受講してみてほしい。
確認テストを含めて、全58本の講義の目次は以下のようになっている。本数が多いので、期限内に全講義を見終わるには、日に2〜3本のペースで視聴する必要がある。
次のページでは、データサイエンスや統計学の講義について紹介する。
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